ニホンウナギ、稚魚高騰 資源管理強化が拍車

 ニホンウナギは稚魚の価格が高騰しており、一部の取引価格は前年の3倍近くにまで跳ね上がったもようだ。日本や中国、台湾など東アジア全域で稚魚の漁獲が低調だったためだ。絶滅が危惧されているウナギに対して国際的に資源管理を強化する動きがあることも、価格の上昇傾向に拍車を掛けている。

 ウナギは完全な養殖が難しく稚魚を育てて出荷している。水産庁などによると、ウナギの稚魚の取引価格は昨年は1キロ当たり109万円だったが、今年は200万円を超え、300万円近くになる可能性があるという。財務省の貿易統計でも輸入するウナギの稚魚は一時300万円を超えた。1キロの稚魚は約5000匹とされ、1匹当たり600円以上する計算だ。

 特に土用の丑の日に間に合わせるには、漁期の前半に稚魚を確保しなければいけない。今漁期がスタートした昨年11月から今年1月にかけて不漁だったことが響いた。

 総務省の小売物価統計調査によると、ウナギのかば焼き(100グラム)の価格は今年6月時点で1284円と昨年6月に比べて124円上昇。稚魚の高騰が小売りにも波及している。

 稚魚の価格は2006年には27万円だった。その後、日本のウナギ大量消費に国際的な非難が集まり、資源保護が強化。稚魚の価格は乱高下しているものの、高止まり傾向が続いている。