【中小企業へのエール】日産と新千歳空港 グローバルな視点・戦略で価値向上を

増山壽一旭川大学客員教授
増山壽一旭川大学客員教授【拡大】

 □旭川大学客員教授・増山壽一

 フランス留学やパリの日本大使館勤務を経験した筆者は、自他ともに認める大の親仏家だ。1999年、日産自動車と仏ルノーとが経営統合すると聞き、東京・霞が関の机で小躍りして喜んだ。なぜなら、やっと日仏関係が地に足のついたものになると確信したからだ。

 実は90年にフランス留学していた頃、パリ郊外のルノー本社工場で1カ月間、研修したことがある。当時、日本の製造業は世界を席巻。一方、ルノーは政府直轄で“親方三色旗”を掲げていた。生産性は低く、工場では労働者がたばこを吸いながら作業をするような、決して褒められた状況ではなかった。フランスやドイツの経営者や政治家は、いかに日本から自国の自動車市場を守るかが最大の課題だった。

 それから10年弱、日産の経営が立ち行かなくなった。米国やドイツの企業との提携話などもあったようだが、あまりにも屈辱的な条件で暗礁に乗り上げ、そこにダークホースのように現れたルノーに決まった。

 ルノーは、日産の経営レベルの大きな課題を見抜き、抜本的な立て直しをカルロス・ゴーンというエースに託した。明確な数値目標を掲げ、現場第一主義を貫いて日産を再建した。

 ややもすればフランスには何も学ぶものがないと豪語したバブル期の日本人には、謙虚さがいかに大事かを知る大きな機会となった。失敗や衰退の背景にあるのは、一度決めると一方向に流れ、成功体験を忘れたがらない体質にあるように思う。

 筆者が愛する北海道の空港民営化もグローバルな視点での検討が必要では、と思う。最大価格で経営権を売り、払い下げるだけが目的ではないはずだ。

 いかに、道内空港の利便性を空運のみならず地域交通網と一体として高められるか、国内のみならず海外からの旅行者にも利便性を増すことができるか-、制度設計も含めて整備が進められているはずである。その際にはぜひ海外、特に欧米にも目を向けたグローバルな検討を期待したい。国産集団とか、道産子集団とか狭い観点に縛られてしまい、せっかくの北海道発展の起爆材が不発で終わってはもったいない。

 日産復調の要因はやはり、グローバルな戦略でもまれたことにあると思う。新千歳空港や他の道内空港事業も大成功につながる戦略が必要とされている。

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【プロフィル】増山壽一

 ますやま・としかず 東大法卒。1985年通産省(現・経産省)入省。産業政策、エネルギー政策、通商政策、地域政策などのポストを経て、2012年北海道経産局長。14年中小企業基盤整備機構筆頭理事。17年4月から旭川大客員教授。日本経済を強くしなやかにする会代表。55歳。