【講師のホンネ】「世間を意識したいい親」の仮面外す 柿澤一二美

 親なら誰でもが、いい親と思う。これから紹介するいい親とは「世間を強く意識したいい親」ではない。そんないい親の仮面は早く外してほしい。

 「世間を強く意識したいい親」である人は、もともと気配りの達人だ。その半面、本音でぶつかることを好まず、こうすれば嫌われないか? 自分が他人や社会にどう思われているか? と世間の反応を大切にする傾向がある。

 一方で、子供は社会に適応する力や価値観を親から無意識のうちに学んでいる。親子の考え方や雰囲気が似てくるのも納得がいく。

 これを心理学では同一化と呼ぶ。つまり無意識のうちに「世間を強く意識したいい親」から価値観も言語・非言語も、そして我慢することも学んでいく。

 家族カウンセリングに来るクライアントの中には、人間関係が息苦しく窮屈だと答える人もいる。また、自分の本心を隠しながら「いい親」という仮面をかぶっていると話す人もいる。

 世間にとってのいい親では子供との信頼関係は生まれない。結果として家族の中で問題が発生する。

 不登校になった子供は、家族というシステムの中では、「たまたま症状を出した人」と家族カウンセリングでは捉える。不登校の子供を問題として捉えるのではなく、家族全体のシステムが何らかの原因で機能していないのでは? と考えるわけだ。

 「先生、この子が学校に行けないのは、やはり家族の問題ですか? それとも学校のせいですか?」という親からの質問には「不登校を誰かのせいにしても問題は解決しません。家族の中の問題を、声にならない形として表現されているのがお子さんです。お子さんの不登校は家族を見直す絶好のチャンスではないでしょうか?」と伝えている。

 大切なことは子供の自己肯定感を育てることだ。それを適切に褒めること。(1)結果だけでなく、その過程を具体的に褒める。(2)他人と比較しないで褒める。(3)親の世界観ではなく、子供の世界観を認めて褒める。

 子供に意識が向いたいい親であるなら、「産んでくれてありがとう、あなたの子供でよかった」と、いつの日か、その姿やその声が心に届くはずだ。

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【プロフィル】柿澤一二美

 かきざわ・ひふみ 1968年東京都生まれ。家族カウンセリング研究所代表、家族カウンセラー・講演講師で4人の男女の母。家族相談士。日本メンタルヘルス協会公認カウンセラー。日本家族心理学会会員。文学座プラチナクラス在籍中。4人の子育て経験と心理学のスキルを融合させた独自のノウハウを講演などで伝えている。