豪雨被災地に水道不要のトイレ 九電子会社、微生物が汚物分解

西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市の「まび記念病院」駐車場に設置された水道不要のトイレ
西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市の「まび記念病院」駐車場に設置された水道不要のトイレ【拡大】

 九州電力子会社で電気機器の製造や保守を手掛ける「ニシム電子工業」(福岡市)は、西日本豪雨で甚大な被害が出た岡山県倉敷市に、汚物のくみ取りや水道への接続が不要な水洗トイレを設置した。処理能力の高い微生物が汚物を分解し、生まれた水を循環させる。臭いを抑えられ、被災者やボランティアに快適に利用してもらう狙い。

 豪雨で一帯が浸水して孤立し、一時断水になった同市真備町地区の「まび記念病院」駐車場で、男女各1台のトイレを備えたコンテナ型の1基が、23日から運用。太陽光発電や蓄電池を使用するため、外部電源や水道に接続していなくても通常の水洗トイレのように使用できるのが特長だ。

 自社開発した技術を用いており、微生物が汚物を短時間で水と二酸化炭素(CO2)に分解。汚物をくみ取る手間が掛からず、無色無臭となった水が循環する仕組みだ。2011年の東日本大震災の被災地でトイレ問題が深刻化したことを受け、開発に着手。17年の九州北部の豪雨でも試作品を置いた。既に実用段階にあり、18年度後半から受注を始めるという。

 ニシム電子工業の菰方重広営業統括本部センター長は「夏の被災地では衛生問題も大きい。せめてトイレを快適に使ってもらえたら」と話した。