【Sakeから観光立国】IWCを活用する自治体の動き加速

山形県の吉村美栄子知事と握手するWSETのイアン・ハリスCEOとアントニー・モス氏(右)=10日、ロンドン
山形県の吉村美栄子知事と握手するWSETのイアン・ハリスCEOとアントニー・モス氏(右)=10日、ロンドン【拡大】

 □平出淑恵(酒サムライコーディネーター)

 世界最大のワイン審査会、インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)の授賞式が10日、ロンドンで最も広いホールを持つ格式あるホテル、グロブナーハウスで行われた。30年以上の歴史を持つIWCに2007年、SAKE部門が設立され、ワインのひのき舞台から日本酒を世界に発信する環境が出来た。IWCを活用して、日本の自治体が地元の酒を世界にアピールする例が増えてきた。

 今年のSAKE部門審査会は5月に山形県で開催。ロンドンのIWCでも吉村美栄子知事が着物姿で「サケ・ブルワー・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀酒蔵賞)」のプレゼンターを務めた。受賞したのは、地元開催ということで初出品した「初孫」醸造元の東北銘醸(山形県酒田市)で、吉村知事は地元の蔵元とともに壇上に上がり「山形」を世界にアピールした。

 吉村知事は授賞式当日、世界最大のワイン教育機関WSETの本部を日本の知事としては初めて訪問、イアン・ハリス最高経営責任者(CEO)と、WSETでSAKE資格のプログラムを開発したアントニー・モス氏とも面談し、ここでも「山形」を印象づけた。

 SAKE部門審査会が日本で初めて開かれたのは12年、東京だった。当時欧州では東日本大震災の原発事故に伴う輸入制限があり、出品酒のトラブルを避けるとともに、被災地域の酒蔵支援が目的だった。

 16年には、“酒処”の兵庫県が審査会誘致に成功。世界14カ国の審査員が県内の蔵元らとの親交を深め、県が誇る酒造好適米「山田錦」の田植え体験や生産者との交流を楽しんだ。

 兵庫県は今年のIWCでも、英国で最も活躍した業務用酒卸を表彰する「オントレイド・サプライヤー・オブ・ザ・イヤー」のスポンサーとなり、荒木一聡副知事がプレゼンターとして世界中のワインビジネス関係者に「兵庫」をアピール。井戸敏三知事は、SAKE部門審査会の定期開催を目指している。

 こうした自治体の活動は、政府による日本産酒類の振興策を追い風に、今後ますます加速しそうだ。

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【プロフィル】平出淑恵

 ひらいで・としえ 1962年東京生まれ。83年、日本航空入社、国際線担当客室乗務員を経て、2011年、コーポ・サチを設立、社長に就任。世界最大規模のワイン審査会、インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)のアンバサダー。日本酒蔵ツーリズム推進協議会運営委員、昇龍道大使(中部9県のインバウンド大使)などを務める。