▼麹から作ったカクテルベースになるお酒を作りたかった
三和酒類株式会社では元々麹にこだわった日本酒や焼酎を造ってきた。1979年に発売された麦焼酎「いいちこ」は、今やお馴染みの大ヒット商品だ。
その中で今回、麹で作ったスピリッツ「TUMUGI」を新たに開発した理由は何だったのだろうか? 同社の営業企画部・井上文太さんに聞いてみた。
「現在、日本には海外から観光客の方がどんどんいらっしゃっています。しかし、その観光客の方が訪れるバーでは、ジンやウォッカベースのカクテルはたくさんあっても、日本酒や焼酎がベースになっているカクテルはほとんどありません。そんな中でバーテンダーが『麹』にまつわるストーリーを語りながら、お客さんに『麹』で作ったスピリッツというものを新たに楽しんでいただく、そんなお酒を開発したかったんです」(井上さん)
それでは「いいちこ」をバーに置いてもらうのではいけないのだろうか? という話になりそうだが、「いいちこ」はカクテルベースのお酒用には造られていない。
まずアルコール度数が違う。「いいちこ」を含め焼酎のアルコール度数は大体25度前後だ。しかしこの度数だとカクテルベースとして使用するには少し腰が弱い。最低でも40度以上の度数が必要だという。
そこで、風味が豊かな麹100%づくりの焼酎をベースに味に複雑さや余韻の爽やかさを出す為のボタニカルスピリッツをブレンドし、度数をしっかりと高めることでカクテルベースとして楽しめる麹のお酒として「TUMUGI」が生まれたのだ。