【Bizクリニック】多様な人材の積極活用で働き方改革

 □イーソーコグループ会長・大谷巌一

 終身雇用制度の終焉(しゅうえん)とITの進歩で、オフィス以外のさまざまな場所で仕事をする「ノマドワーカー」が増えている。働き方改革では企業所属の有無に関係なく、個人の能力を最大限に生かし、社会に貢献できる環境づくりが必要だ。多様性への寛容度が増し、働き方のグローバル化も浸透していくだろう。優秀な人材確保が企業の命運を握るだけに多様な人材を積極的に活用するダイバーシティが重要になる。

 人員の確保、採用は大きな課題だ。政府は働き方改革を推進し「50年後も人口1億人を維持し、職場・家庭・地域で誰もが活躍できる社会」の実現を目指す。経産省は2012年にダイバーシティ・マネジメントを掲げ、企業の成長を促している。

 当社もダイバーシティの雇用形態を導入した。バレリーナ、歌手、役者志望の社員も採用し、レッスン重視の労働条件を整えた。今年入社した社員にも声優を目指す人がいる。残業なし、土日祭日休みとなる彼らに、会社がチケットをまとめて購入し、応援に行くこともある。年収は一般社員より低いが、夢のために会社が支援できる環境を構築している。多様化するマーケットや顧客ニーズを先取りし、イノベーションを起こすには「ワークライフバランス」(仕事と生活の調和)、「ワークライフハーモニー」(仕事と生活の融合)など、さまざまな価値観を重要視する感覚が欠かせない。

 ダイバーシティの一環で高齢者にも活躍の場を提供している。15年改正の「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」に対応し、定年を迎えた大企業のOB数人を迎え入れている。物流はじめ、各分野のプロフェッショナルとしての経験豊富な知識を生かし「先生」として若手社員の指導に当たる。

 フレックスタイムも採用した。20年にスタートする次世代通信規格「5G」を見越したものだ。10年に比べ1000倍以上といわれる移動通信のトラフィック量や、あらゆるものがインターネットにつながるIoTに即した同時多接続に対応し、第1フェーズとして勤怠管理や休暇申請などをクラウド上で行う。管理者と共有することで自由度の高い労働環境を提供できる。

 ダイバーシティには女性の活躍が欠かせない。イーソーコは役員4人のうち、代表取締役を含む2人が女性。子会社4社の代表取締役は女性2人、男性2人で、このうち3人は30代だ。日本の女性社長は企業全体の7.69%(17年4月末現在)と先進国では最低水準レベルだが、当社は欧米並みの50%を誇る。労働人口の減少、人材不足、働く側の価値観の変化や顧客ニーズの多様化、国際化など、経営環境が複雑化するなか、男女のバランスのとれた役員比率はもちろん、若い経営感覚を取り入れることが望ましい。

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【プロフィル】大谷巌一

 おおたに・いわかず 高千穂商大(現・高千穂大)商卒。1981年東京倉庫運輸入社。92年東運開発に出向し、物流不動産ビジネスを創始。99年アバンセロジスティック(現イーソーコ)を設立し、副社長。14年から現職。日本物流不動産評価機構副会長、日通学園流通経済大客員講師を務める。61歳。東京都出身。