【株式ニューカマー】住宅の修繕軸に新築完成後の定期点検強化

キャンディル・林晃生社長
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 □キャンディル・林晃生社長

 キャンディルは、建物の内装の修繕や改修を手掛けている。独自の教育プログラムによって技術者を育成し、全国各地の直営拠点に配置。高い品質と技術力を売りに業績を伸ばしている。7月5日に東証マザーズ市場に新規上場した林晃生社長にこれからの事業展開について聞いた。

 ◆作業員1000人育成

 --事業内容を詳しく

 「住宅やオフィスなど建物内の床や壁、家具などの傷を修繕するリペアサービスが売上高の4割を占め、事業の柱となっている。新築住宅の施工中に発生する傷や、既存住宅で日常生活の中で付く傷など、部材を交換せずに美観を回復させる。住宅メーカーをはじめ1万9000社が顧客となっている」

 --同業他社と比べて、どのような強みがあるのか

 「均一で高品質なサービスを提供していることだ。案件別や基本作業など、技術を分かりやすい形で標準化し、4000以上のマニュアルと動画教材を整備した。このほか耐久性と作業性に優れ、作業員の健康にも配慮した独自の塗料など素材も開発している。作業員1000人を自社で育成している。単独で仕事を完結できるまで、2、3カ月かけて社内の施設と現場での研修によって技能を身に付けてもらう」

 --従業員教育で、とくに力を入れていることは

 「身だしなみや言葉遣いといったマナー教育だ。技術が高いことは当然だが、建物内で長時間作業をするので、入居者に不安や不信感を与えないためにも重視している」

 ◆直営にこだわり

 --全国各地にある拠点は全て直営にしているが

 「しっかりとした顧客管理が必要なためフランチャイズ(FC)展開ではなく、直営にこだわっている。顧客と作業現場は別であることが多い。例えば、顧客である住宅メーカーが建築中の物件に傷を付けてしまい、修繕の依頼を受けたとする。住宅メーカーとしては表沙汰にしたくないから、当社が黒子として修繕作業を請け負う。全国58カ所の直営拠点で仕事を受けることによって、顧客情報は厳重に管理できる」

 --業績の推移は

 「2018年9月期の売上高は前期比7.2%増の128億2000万円、経常利益が同16%増の3億3100万円と堅調に推移するとみている。サービス別では商業施設内の内装工事や、オフィス移転時の家具や什器の設置、内装変更、ホテルの家具取り付けといった『商環境向けサービス』が東京五輪・パラリンピックが追い風となり、前期比21.4%増の大幅増を予想している」

 --これから強化していく分野は

 「戸建て住宅向けのアフター定期点検だ。一般的に住宅の定期点検は引き渡しから半年、1年、2年だ。しかしその後、不都合が生じることもある。このため5~20年という長期にわたる点検のニーズが増えてきている。住宅メーカーと協力して、長期点検の市場を開拓していきたい」

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【プロフィル】林晃生

 はやし・あきお 日本不動産学院に入社。1995年バーンリペアを設立。2015年4月からバーンホールディングス(現・キャンディル)社長。51歳。岡山県出身。

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【会社概要】キャンディル

 ▽本社=東京都新宿区北山伏町1-11 牛込食糧ビル3階

 ▽設立=2014年8月

 ▽資本金=4億5448万円

 ▽従業員=1463人(2018年4月末時点)

 ▽売上高=128億2000万円(18年9月期見込み)

 ▽事業内容=建物内の補修、アフター定期点検、各種メンテナンスなど