大手信託銀行、地方銀行との連携強化 顧客層拡大で収益基盤強化 (2/2ページ)


【拡大】

 三井住友信託銀行を傘下に持つ三井住友トラスト・ホールディングスは、地銀が扱う投資信託や保険などの販売ノウハウなどを助言する「投信・保険ビジネス総合研究所」の営業を4月に開始した。信託商品は対象外だが、将来は信託を含めた協業への発展も視野に入れている。

 金融庁によると、2017年3月期決算で地銀106行のうち54行が本業で赤字になるなど、低金利のため融資業務で稼げなくなっている。信託商品など新たな手数料収入の獲得が課題となっており、ノウハウが乏しい地銀にとっても大手信託銀との連携は“渡りに船”だ。

 信託協会によると、加盟会社が受託した信託財産の総額は今年3月末に1141兆円と5年前と比べ4割超拡大した。大手信託銀が地方を中心とした信託の高い成長を取り込むには、地銀との補完関係の構築が今後さらに重みを増す見込みで、地銀の囲い込み競争も激しくなりそうだ。(万福博之)