
投資銀行出身のベンチャー幹部【拡大】
ITベンチャーに新たな人の流れが生まれている。注目されるのは外資系投資銀行から転身する日本人バンカーたちだ。厚遇を捨て、金融知識と実務経験を武器に新天地で人脈を広げ始めた。
「投資銀行のOBが増えましたね」。会計アプリを手掛けるマネーフォワード(東京)の金坂直哉最高財務責任者(CFO)はベンチャー業界を見渡してこう語る。自身もゴールドマン・サックス証券(GS)を経て、4年前にマネーフォワードに参画した。
これまで投資銀行からの転職先と言えば同業他社かファンド業界が多かった。最近目立つのは、金融とITを組み合わせたフィンテック業界への転身だ。給与を大きく減らしてでもベンチャーの経営幹部を選ぶ例が増え、仮想通貨交換会社や投資情報アプリ会社には投資銀OBが居並ぶ。
GS出身で、金融サービスのエメラダ(東京)で最高経営責任者(CEO)を務める沢村帝我氏のように、投資銀での経験を踏み台に起業するケースも少なくない。
ベンチャー人気の裏には、投資銀側の内部事情もある。例えば、GS日本法人は継続的に陣容を拡大し「古参が増えて若手が活躍しにくくなった」(30代社員)とされる。ベンチャーでは大きな裁量権を発揮できる上、株式上場を果たせば巨額の資産を得られる可能性があることも魅力的に映るようだ。