FFGと十八銀、来年4月統合 公取委承認「債権譲渡で競争圧力」

経営統合に関しての会見を終え、手を合わせて笑顔を見せた親和銀行の吉沢俊介頭取、FFGの柴戸隆成社長、十八銀行の森拓二郎頭取(左から)=福岡市中央区
経営統合に関しての会見を終え、手を合わせて笑顔を見せた親和銀行の吉沢俊介頭取、FFGの柴戸隆成社長、十八銀行の森拓二郎頭取(左から)=福岡市中央区【拡大】

  • 長崎市の十八銀行本店(左)と福岡市のふくおかフィナンシャルグループ本社

 公正取引委員会は24日、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)と長崎県地盤の十八銀行の経営統合計画を承認すると発表した。統合をめぐって、2年以上に及んだ異例の審査が決着した。両社は公取委の通知を受けて2019年4月の統合を目指す。

 両社が、全体の1割程度となる1000億円弱の貸出債権を20の金融機関に譲渡して貸出金のシェアを下げることで、長崎県内の金融市場の競争環境が保たれ、借り手企業が不利益を受けることがなくなると判断した。現在の中小企業向けの貸出市場シェアは、FFGが40%、十八銀が35%で合計75%。これを統合までに債権を譲渡することで65%に低下させる。シェアは依然高水準だが、公取委は会見で、「競争実態を見ながら総合的に判断する」とした上で、「債権譲渡を中小企業との取引拡大の契機と捉える金融機関が複数いる。競争圧力になる」と承認した理由を述べた。

 一方、対馬、壱岐島など離島でのシェアは約95%になるが、「市場規模が極めて小さく採算が取れていない。寡占になっても競争制限にはならない」と結論づけた。

 今回の承認を受けて、FFGと十八銀は同日、19年4月に十八銀がFFG傘下に入り、20年4月にグループで長崎県佐世保市に本店がある親和銀行と十八銀が合併する計画を発表した。FFGの柴戸隆成社長は福岡市内で会見し、「事業譲渡は苦渋の決断だった。統合後は地域の活性化、銀行の成長につなげたい」と述べた。

【用語解説】公取委の統合審査

 公正取引委員会が企業から統合計画の届け出を受け、独占禁止法に基づいて統合の可否を判断する手続き。統合・合併後に市場支配力が過度に強まり価格などが容易に引き上げられるなど公正な競争に悪影響が出る恐れがないかを調べる。ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)と十八銀行は1次審査で承認を得られず2次審査が続いていた。

 ■九州2地銀統合をめぐる経過

 2016年2月 ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)と十八銀行が17年4月の経営統合に向けた協議に基本合意。十八銀とFFG傘下の親和銀行(長崎県佐世保市)は18年4月合併想定

      6月 公正取引委員会に統合審査を申請

      7月 公取委が2次審査を開始

   17年1月 統合の半年延期を発表

    4~5月 FFGと十八銀が、貸出債権の一部を譲渡する案を検討

      7月 統合時期を未定として再延期を発表

   18年5月 長崎県内の全取引先を対象に債権譲渡に応じるか調査開始

   8月21日 債権譲渡計画を盛り込んだ問題解消措置を公取委に提出

     24日 公取委が経営統合計画の承認発表