【ITエリート争奪戦(下)】AIビジネス、東大生切磋琢磨 手厚い研究・資金支援で起業後押し (1/2ページ)

東大の起業サークル「TNK」の勉強会。先輩起業家らを招いてビジネスを学ぶ=5月、東京都渋谷区
東大の起業サークル「TNK」の勉強会。先輩起業家らを招いてビジネスを学ぶ=5月、東京都渋谷区【拡大】

 起業に挑む東大生が増えている。人工知能(AI)など先端技術を使った新規ビジネスを模索する若い頭脳が集まって切磋琢磨(せっさたくま)。大企業やファンドによる研究・資金支援も手厚く、起業を後押しする基盤が整ってきた。

 「このビジネスプランへの意見を聞かせてほしい」。7月下旬、東大本郷キャンパス近くの共有オフィスに起業を目指す東大生らが集い、熱心に議論を交わしていた。

 このオフィスはソフトバンクグループの子会社ディープコア(東京)が運営する。AI分野の起業や研究を支援するのが目的だ。AI産業の担い手が不足する日本の現状に危機感を抱いたグループの孫正義会長兼社長の発案で今年春にスタートした。

 AI研究の第一人者、東大大学院の松尾豊特任准教授と連携し、院生を含む東大生ら約90人が参加する。AI用半導体に強い米エヌビディアの協力を得て、最先端の計算機を導入するなど「大学の研究室にひけを取らない施設環境」(永田達哉ディレクター)を整備した。

 資金調達も、かつてほど高いハードルではなくなった。AIプログラミングの学習サービスを提供するアイデミー(東京)は2014年、当時東大工学部の学生だった石川聡彦社長が起業。今年5月には東京大学エッジキャピタルなどから計約9200万円を調達した。

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