関税基準改定で生産戦略の見直し必至 NAFTA再交渉、日本の自動車メーカー困惑 (2/2ページ)

マツダのメキシコ工場。米国への主力供給拠点となっている=サラマンカ市(マツダ提供)
マツダのメキシコ工場。米国への主力供給拠点となっている=サラマンカ市(マツダ提供)【拡大】

 米国が輸入トラックにかける関税は25%で乗用車の2.5%を上回る。協定の恩恵がなくなるとコスト増は避けられず、「原価低減や生産車種変更などあらゆる手段で競争力を高める判断を迫られる」(メーカー幹部)。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の試算によると、タコマの米国輸入(17年実績)に関税25%が課せられた場合の負担額は年約500億円という。

 各社は米・メキシコ合意で設けられた「賃金基準」にも困惑気味だ。基準は車の部品の40~45%は時給16ドル(約1800円)以上の工場で造るよう要求。適用されると、時給7ドル程度が相場とされるメキシコ製の部品を調達しにくくなる。

 同証券の杉本浩一シニアアナリストは「中長期的には米国向け次期モデル投入時にメキシコ生産を見合わせるか先送りする対応が求められる」と予測。米国などへの生産切り替えも選択肢に入る可能性も指摘している。(臼井慎太郎)