【Sakeから観光立国】和食会議普及啓発部会で「菊酒」を体験

「重陽の節供~和食と日本酒~」のパネルディスカッション=8月22日、東京都千代田区
「重陽の節供~和食と日本酒~」のパネルディスカッション=8月22日、東京都千代田区【拡大】

 □平出淑恵(酒サムライコーディネーター)

 一般社団法人和食文化国民会議(和食会議)普及・啓発部会の今年度第1回部会が8月22日、東京都千代田区の楠公レストハウスで開かれた。同会議は和食を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録する活動を行った任意団体をベースに、2015年に法人化され、和食文化の保護・継承に取り組んでいる。

 今回のテーマは和食会議が取り組む「五節供プロジェクト」の一環である「五節供:重陽の節供」。後藤加寿子部会長の開会あいさつに続き、和食会議顧問、神崎宣武・旅の文化研究所所長が基調講演を行い、五節供プロジェクトの山本真砂美リーダーを筆頭に、会員企業の活動が報告された。

 筆者が講師役を務めた「菊酒の体験」では、五節供の一つである重陽の節句(菊の節句)に飲む菊酒を実際に試してもらった。漆器やワイングラスで、菊の花びらを浮かべた「月桂冠」「松竹梅」「月の桂」「天狗舞」の4銘柄の日本酒を楽しんだ。漆器は会員の日本漆器協同組合連合会から提供された。

 普段、筆者は日本酒の国際化について活動しているが、四季を楽しむ日本文化を背景とした菊酒の価値を会員と共有する素晴らしい機会となったと思う。

 パネルディスカッションでは伏木亨・和食会議会長のコーディネートにより神崎氏、「月の桂」醸造元の増田徳兵衛商店(京都市伏見区)の増田徳兵衞社長、筆者というメンバーで「重陽の節供~和食と日本酒~」をテーマに語り合った。

 農林水産省の五十嵐麻衣子和食室長の来賓あいさつで会は最高潮に。閉会後は、楠公レストハウスの安部憲昭料理長による重陽の節供にちなんだ特製メニューで懇親会が開かれた。このほか新入会の「日本の節句文化を継承する会」による人形の展示や、和食の基礎知識をまとめた「和食手帖」や「和食ブックレット」などの販売もあった。

 この部会で、日本酒文化の伝承には、重陽の節供をはじめとした文化を生活の中で実践することが大切だと強く実感した。

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【プロフィル】平出淑恵

 ひらいで・としえ 1962年東京生まれ。83年日本航空入社、国際線担当客室乗務員を経て、2011年コーポ・サチを設立。世界最大規模のワイン審査会、インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)のアンバサダー。日本酒蔵ツーリズム推進協議会運営委員、昇龍道大使(中部9県のインバウンド大使)、東北・夢の桜街道推進協議会アドバイザーを務める。