【Bizクリニック】3つの質問に答えて経営理念をつくる


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 □日本パーソナルビジネス協会代表理事・親川政明

 顧客に共感してもらえて、優秀な人材も引き付ける「生きた経営理念」のつくり方を紹介しよう。それは「誰に(どのような顧客に)、何を通じて(どんなポリシーで商品を提供するか)、どんな社会をつくるか(問題が解決できた後の社会)」-の3つの質問に対し明確に答えることだ。

 こうした理念を一言でくくると「会社のスローガン、キャッチフレーズ」になる。ちなみに当社の理念は「豊かな社会を共に創ろう」だ。社員、顧客と「共に」豊かな社会をつくりたいという思いを込め、理念に反するような商品は作らず、人材も採用しない。

 事業、経営には顧客・人材が必要であり、そのためには顧客が共感し、人材を引き付けるための「スローガンという名の旗」が不可欠だ。多くの中小企業、個人事業主は「理念の表現」で失敗している。小さい会社ほど事業と経営者が一体になることが多く、個人の理念と事業の理念を混同している。

 例えば昨今の起業ブームを受け「いつでも旅行したいので自由な時間とお金が欲しいから事業を行う」といったパターンは「自分本位の理念」になりがちで、顧客から共感されにくい。その結果、価格競争に巻き込まれ、集客の際、安さやお得感を前面に打ち出しても顧客がこない。

 一方、「困っている人の役に立ちたい」など顧客への貢献を明確にした「本来の理念」を表現すると価格が高くても買う顧客がきたり、理念をともにしたいという人材がきたりして、選ばれる会社・事業者になりやすい。

 ところで、タクシー大手、日の丸交通とロボットベンチャーのZMPは8月27日~9月8日、自動運転車両を用いたタクシーサービスの実証実験を東京都心の公道で行った。乗客が目的地を指定すると、ロボットが自動運転で送り先まで届ける。SFのような世界が現実になってきた。

 企業経営も人工知能(AI)やシステム化が進んでいる。筆者が考える経営3本柱は「理念(思い)、戦略(仕組み)、戦術(行動スキル)」であり、そのうちの戦術や戦略には自動化の波が押し寄せている。ただ、それでも自動化できない分野がある。それが「何のために私たちは事業を行うか」という理念の策定だ。

 大企業でもパナソニックの「A Better Life, A Better World」、ナイキの「JUST DO IT.」など明確な理念、スローガンがある。理念は定期的な見直しも時に必要だ。自社の思い、理念を文字にして「わが社は顧客にどのように貢献する」と高らかに社会に宣言してみてはどうか。「組織に一体感がない」「もうかっているが、この先が不安」「なかなか顧客に選ばれない」-。そんな時は自社の理念見直しが突破口になるはずだ。

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【プロフィル】親川政明

 おやかわ・まさあき 沖縄県立泊高卒。2004年オフィスワークサポートを起業、14年合同会社ミリオンズを設立し代表(現職)、17年日本パーソナルビジネス協会(JPBA)を設立し代表理事(現職)。売り上げアップ、労働時間削減を90日以内に同時達成する経営の仕組みを提供。41歳。沖縄県出身。