【トップは語る】日本政策投資銀行 地銀との関係、厚くしていく

日本政策投資銀行の渡辺一社長=7月18日、東京都千代田区
日本政策投資銀行の渡辺一社長=7月18日、東京都千代田区【拡大】

 □日本政策投資銀行社長・渡辺一さん(59)

 --新たにリスクマネーを供給する分野として航空宇宙、通信、ヘルスケア、物流を掲げている

 「時代を先取りして新しいマーケットにつながる分野だと思う。宇宙分野は、政府が1兆2000億円の市場規模を2030年代には倍増したいと言っている。日本の技術力やトレンドをみればもっと大きな市場になる可能性がある。日本はベンチャー企業に対するリスクマネーの供給者が少ないが、政投銀が支援することで産業を大きくしたい。月探査を目指すアイスペース(東京都港区)にスズキや清水建設などの有力企業と出資するなど、昨年から投資を始めている」

 --ヘルスケア産業についてはどうか

 「日本が抱える最も大きな課題の一つだ。高齢者が安心して暮らせるよう病院の再生も手伝っている。医療技術と経営は別次元なので、経営者を代えれば(経営難の病院でも)きちっと立ち直る。大きな資金が必要な創薬を支援するファンドも昨年立ち上げた」

 --なぜ日本はリスクマネーの供給者が少ないのか

 「リスクをとって投資するより預金する人の方が多いので、銀行に資金が集まる。銀行は決済機能が社会インフラとして重要だから自らの資金でリスクをとって金融商品を購入・売却することは規制されている。ファンドを作って別会社にすれば可能だが、銀行本体からは多額の資本を出せない。だから金融機関で協調してマーケットを大きくしていく。政投銀は三井住友銀行やみずほ銀行とそれぞれファンドを作っている」

 --地方銀行との協調も優先テーマの一つだ

 「政投銀は株式会社化した際、地銀から1兆円近くの資金を調達している。関係を厚くしていきたい。事業再生や事業承継など、取引先の問題を一緒になって解決することで自分たちのビジネスチャンスにもなる」

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【プロフィル】渡辺一

 わたなべ・はじめ 東大卒。1981年日本開発銀行(現日本政策投資銀行)。常務執行役員、副社長を経て今年6月から社長。神奈川県出身。