【終活の経済学】遺品・生前整理の極意(6)不要品の処分

フリーマーケットで衣服を選ぶ人たち
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 ■フリマ活用 モノの命つなぐ

 整理の際に大量に出てくる不要品。とはいえ、何でもかんでも捨ててしまうのはもったいない。そんなとき各地で開催されるフリーマーケット(フリマ)や、スマートフォンなどのフリマアプリを活用して物品を売却する方法がある。

 ◆人と知り合う契機

 各地の公園や寺社などで開かれるフリーマーケットはそれぞれの主催者に出店を申し込み、売りたい物に値段をつけて並べる。全国のフリマ開催情報をインターネットで紹介する「フリマガイド」(http://furima.fmfm.jp)を運営する鈴木睦さんは終活にフリマを活用することを勧める。

 「フリマでは、思い出の品を他の必要とされる方に譲ることで、モノの命が生かされます。ひょっとすると自分が亡くなった後も、その品物が人から人にずっと渡り続けるかもしれない。ロマンがあります」

 またフリマは、お客さんとの話し合いで実際の売買が成立する。このためフリマに出店することで、これまで話す機会のなかった人たちと知り合うきっかけになる。鈴木さんは「出店者にインタビューすると、単に不要品をお金に換えるだけでなく、例えば売り上げを途上国支援のために寄付しているという高齢の方もいました。いろいろな活用法があります」と話す。

 ◆アプリで日常的に

 実際の出店はいろいろ準備もあって大変そう、という人には、インターネット上のフリマもある。

 フリマアプリを使って売りたい物の写真を撮影して、品物の説明文や希望価格を付けて「出品」する。値段交渉などもネット上で可能で、売買が成立すれば宅配便などを利用して品物を送り、お金が得られる仕組みだ。また、出品した物の値段をオークションで決める「ヤフオク!」のようなネット取引もある。

 若い人たちの間では、フリマアプリを通じて服やバッグなどが日常的に売り買いされているが、実際に使ってみると、ちょっとしたお店屋さん感覚も味わえるはずだ。

 1日100万点以上が出品されている「メルカリ」では、家の片付けによって出てきた不要品の処分にフリマアプリを活用する人が増えているとみる。

 ◆市場規模1.8兆円

 メルカリが2017年11月、全国の20~69歳の男女1000人を対象に不要品をどのように片付けているかをインターネットで尋ねたところ、「自分でごみとして処分する」が88.9%と最も多く、実店舗の買い取りサービス(20.0%)やリユースショップ(9.5%)、フリマアプリ(8.5%)などリユース市場で換金する人はまだ多数派ではなかった。だが、2人に1人はスマートフォンなど活用した不要品の処分を「すでにやっている・今後やりたい」と答えた。

 経済産業省が17年4月に発表した「電子商取引に関する市場調査」によると、過去1年間に不要となった製品の推定価値は総額7兆6254億円で、フリマアプリなどのリユース市場規模は概算で1兆8800億円と推計(いずれも自動車・オートバイを除く)。生前整理で出た不要品も、再活用していく余地はまだまだありそうだ。

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 ■ご近所さんと直接受け渡し・決済

 インターネット上で商品を売買するフリマアプリが若者を中心に活況を呈するなか、不要品をはじめとした地域情報を掲載するサイト「ジモティー」(https://jmty.jp/)が、生前整理や遺品整理に利用されるケースが増えている。

 ジモティーの特徴は、都道府県や市区郡ごとに出品情報が分けられ、出品者と購入者の間で直接、商品の受け渡しと決済が行われるところ。

 地域の人同士の取引なので、ソファやテーブルなどの家具、冷蔵庫や洗濯機など大型家電、自転車、バイクなど、輸送や処分がしにくいモノでも購入者に取りに来てもらうことができる。運び出しを手伝ってもらうこともできるところが、高齢者にとってはありがたいだろう。

 自治体の粗大ごみに出せば、多くの場合、予約が必要で、処分費も有料。もちろん、指定場所まで運ばなければならない。ジモティーを利用すれば、登録料や手数料は無料だ。

 出品者は譲渡したい物品の写真を撮って投稿。買いたい人はサイト内のメールで問い合わせをし、受け渡しや支払い方法を相談して、取引が成立する。出品の価格は自由に設定できるので、「0円」(無料譲渡)で投稿すれば、80%以上がその日のうちに問い合わせがくるといい、取引完了までスピーディーに進むことも特徴といえる。

 ジモティーによると、生前整理や遺品整理でしばしば出品されるのが、ダイニングセットや食器類など。大家族で使っていたものが子供の独立で不要になるケースだ。退職で着る機会がなくなった高級コート、使わなくなったひな人形や五月人形、家の中にしまいこまれていた壺や置物も多い。仏壇も取引されたことがあるという。

 表面が破れたソファや汚れの目立つテーブルなどジャンク品が出品されることもあるが、カバーを掛ければ十分利用できる、と取引が成立しているという。壊れたテレビなども業者が部品を再利用するケースがあることから、出品してみる価値はありそうだ。

 ジモティーは2011年にサイトがオープン。現在は全国で月間750万人の利用があり、大型家具、家電の0円譲渡は月間1万件を突破しているという。同社広報担当の黒川由希子さんは「値段よりも処分を優先したい方に向いているので、生前整理や遺品整理に利用しやすいといえます」と話している。(『終活読本ソナエ』2018年春号から、隔週掲載)