造船、韓国の保護策に悲鳴 補助金で船価低迷 国際会議で議論へ (2/2ページ)

韓国南部、巨済島の大宇造船海洋の造船所を訪問する文在寅大統領(左から3人目)ら=1月(聯合=共同)
韓国南部、巨済島の大宇造船海洋の造船所を訪問する文在寅大統領(左から3人目)ら=1月(聯合=共同)【拡大】

 日本政府も座視してはいない。韓国政府による多額の公金投入は国際的な安売り競争を招き、世界貿易機関(WTO)のルールに違反している疑いがあると判断、WTOへの提訴の検討を始めた。ただ、紛争解決の判断が出るまでには2年前後かかるのが実情だ。

 このため造工会は、来月の「JECKU造船首脳会議」で採択する議長声明に「設備淘汰(とうた)の動きを阻害する政府助成の廃止」を盛り込みたい考え。昨年の会議でも「公正な競争に向けた世界的に規律ある商業的慣行制度」を掲げたが、さらに踏み込む。

 ただ「造船業は韓国の重要な外貨獲得手段」(国内業界関係者)だけに、雇用を維持したい文在寅政権が直ちに是正へ舵を切ることへの期待感は薄い。米中貿易摩擦の余波も懸念され、国内各社の経営は厳しさを増しそうだ。(山沢義徳)