【ハザードマップ】福岡マゼラン/ファーストスプリング

 ■事業計画の甘さから資金繰り悪化

 ▼福岡マゼラン 福岡マゼラン(旧宮崎カーフェリー)と関連の福岡セラーン(旧宮崎船舶)は8月15日、福岡地裁から特別清算開始決定を受けた。

 福岡マゼランは2005年12月に特別清算開始決定を受けたマリンエキスプレス(宮崎市)から、同社が運航していた4航路のうち宮崎~日向~貝塚(貝塚航路)、宮崎~大阪南港(大阪航路)の2航路の営業権を譲り受け、宮崎カーフェリーの商号で設立された。当初は2航路の運航で、06年3月期は売上高60億5150万円を計上した。

 しかし、貝塚航路は宮崎県と関西圏を結ぶ輸送ルートとして首都圏への農産物、工業製品輸送への活用が期待されていたものの、採算ラインに達しなかったため、07年3月期中に撤退。以降は大阪航路のみの運航となり、14年10月からは神戸港へ航路を変更していた。15年3月期以降は燃料価格の低下により採算は好転したが、傭船代の返済原資を確保するまでには至らなかったほか、新船建造に対する資金手当てのめどが立たなくなっていた。このため、今年2月開催の株主総会決議により解散し3月1日、現商号に変更していた。

 福岡セラーンは、マリンエキスプレスが所有していたカーフェリーなどの資産を承継。船舶2隻を保有し、旧宮崎カーフェリーにリースしていたが、同様の措置となった。

 ▼ファーストスプリング ファーストスプリングは8月28日、東京地裁に破産を申請し、9月5日に破産開始の決定を受けた。

 同社は福島県双葉郡楢葉町のJR竜田駅東側に客室200室、レストラン、温泉施設を併設するビジネスホテルを運営する目的で設立。今夏開業をめどに総額29億円の計画で2017年12月に着工した。だが、資金繰りが悪化して今年2月には工事が中断。工事再開のために金融機関へ支援を要請したものの不調に終わり、債権者から仮差し押さえの通告を受ける事態となって事業継続を断念し、今回の措置となった。

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【会社概要】福岡マゼラン

 ▽本社=宮崎市港

 ▽設立=2004年4月

 ▽資本金=1000万円

 ▽負債額=15億7633万円

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【会社概要】ファーストスプリング

 ▽本社=福島県双葉郡楢葉町

 ▽設立=2016年7月

 ▽資本金=1000万円

 ▽負債額=約15億7900万円

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 〈チェックポイント〉

 福岡マゼランは経営難に陥った前身会社から事業譲渡を受けて発足したが、再度の法的整理となった。宮崎県と関西圏を結ぶ航路として貴重な存在だが、採算は低迷した。事業は新会社へ譲渡され、新たな船出を果たしたが、コストや需給バランスの課題をどうクリアするか。新経営陣の経営手腕が問われている。

 ファーストスプリングが進めていたホテル建設は、資金不足から年明け以降、工事が中断していた。復興支援の後押しとして、地域活性化や雇用面創出の面でも地元の期待を集めていただけに落胆の声は大きい。

 復興にかける高い理念と裏腹に、事業計画の甘さが多くの関係者に迷惑をかける結果となった。(東京商工リサーチ常務情報本部長 友田信男)