野村HD永井CEO「顧客の課題解決に軸足」 リーマン後、規制で事業一変

インタビューに応じる野村ホールディングスの永井浩二グループCEO
インタビューに応じる野村ホールディングスの永井浩二グループCEO【拡大】

 野村ホールディングス(HD)の永井浩二グループ最高経営責任者(CEO)(59)が21日までに共同通信のインタビューに応じ、法人向け事業の主体が2008年のリーマン・ショック後に、リスクが大きい投資で巨額の利益を狙うビジネスから企業への助言業務などに「一変した」と語った。金融危機対応で世界的に規制強化が進んだためで、日銀の金融緩和も影響しているという。

 野村HDは、経営破綻した米証券大手リーマン・ブラザーズの欧州部門とアジア・太平洋部門を買収した。「世界経済が冷え込んだ中で、リーマンから引き継いだ社員の人件費がかさみ、収益力の低下に苦しんだ」と振り返る一方、「海外の顧客基盤が約4倍に広がった」と効果を強調した。

 リーマンの破綻は「身の丈をはるかに超える異常な投資に走り、バブルが崩壊した」と分析した。自己資金を大きく上回る規模の借金を元手にした投資は証券各社にとって大きな収益源だったが、厳しく規制された。

 日銀が金融緩和策の一環として国債を大量に買い上げており、債券の売買に伴う収益も細っている。このため企業の合併・買収(M&A)に伴う助言や事業承継の支援など「顧客の課題解決を後押しする分野に軸足を移している」と説明した。

 現在の経済情勢については、米国の利上げによる新興国からの資金流出を懸念材料に挙げた。ただ、銀行や証券会社の財務体質は投資の規制などで改善したとして「金融機関を発端とする危機が再び起こるとは考えにくい」との認識を示した。