複数ファンドで新ビジネス創出 産業革新投資機構が発足 AIなど照準

会見する産業革新投資機構の田中正明社長=25日、東京都中央区
会見する産業革新投資機構の田中正明社長=25日、東京都中央区【拡大】

 「産業革新機構」を改組して25日発足した官民ファンドの「産業革新投資機構」(JIC)の田中正明社長は同日記者会見し、今後の投資方針について、「人工知能(AI)をはじめとする先端技術や組織の枠を超えた事業再編への投資を通じて新しい産業の創出や産業競争力強化につなげたい」と抱負を述べた。今年度中に複数のファンドを立ち上げる。

 JICは直接投資に加え、経済産業相が認可した傘下ファンド経由による投資、海外にファンドを設立することも検討している。具体的な投資分野としては、AIやロボット、バイオ、ヘルスケアなどの先端分野や日本にはないビジネスモデルを持っている海外企業などを挙げた。

 日本政府は「ユニコーン」と呼ばれる企業価値10億ドル(約1100億円)以上の複数の未上場ベンチャー企業の創出を目指しており、成長戦略に貢献するほか、地方大学の研究成果を発掘して新ビジネスにつなげることも検討している。

 JICの業務期間は2034年3月末までで、企業価値を高めて株式を売却する。

 前身の産業革新機構は09年に設立された。半導体大手ルネサスエレクトロニクスや中小型液晶ジャパンディスプレイなど、救済色の強い投資だとして批判されたことに関し、田中社長は「市場から退出すべき企業の、いわば救済目的の投資は行わない」と明言。その上で、「競争力強化や将来の成長ドライバーを持っているかが問われる」と述べた。