【フジテレビ商品研究所 これは優れモノ】トマトケチャップ リコピンリッチ

「デルモンテトマトケチャップリコピンリッチ」。内容量485グラム、店頭想定価格214円(税込み)
「デルモンテトマトケチャップリコピンリッチ」。内容量485グラム、店頭想定価格214円(税込み)【拡大】

  • 同社の社員が世界中のトマト農場で品質をチェックしている
  • 収穫したトマトを洗浄し、製造工程に進む
  • キッコーマン食品プロダクト・マネジャー室川岸寿夫氏

 □キッコーマン食品「デルモンテ トマトケチャップ リコピンリッチ」

 ■完熟、濃厚 よりおいしくヘルシーに

1世帯当たり支出減る

 「ケチャップはどれも同じという消費者の感覚を変えたいんです」と、キッコーマン食品プロダクト・マネジャー室の川岸寿夫(としお)さん(45)。

 同社は半世紀以上にわたり、米国生まれの「デルモンテ」ブランドの加工食品の開発や製造販売を展開している。その中にあって川岸さんは、社内で15年前からケチャップのマーケティングに携わる「ケチャップをもっともよく知る男」の一人だ。

 川岸さんは販売現場での定点観測を通じ、家庭でのケチャップの使用頻度や使用量が減っていると感じていた。実際、総務省のデータでも、2000年に1世帯当たり634円だったケチャップの年間支出金額は、2015年まで570~590円台で推移していた。

 「少子化や共働き世帯の増加で、家庭での調理が減ったことが大きいのでは」という川岸さんは、食の多様化で使われる調味料が広がったことも要因の一つと指摘する。

 ケチャップというとトマトケチャップが思い浮かぶが、ルーツとして有力なのは、東南アジアや中国南部の華南地方で使われていた魚醤。これが17世紀頃に渡欧し、進化していったという。当時は原材料はさまざまで、魚介類や果物、マッシュルームなどを塩で調理し、総称してケチャップと呼ばれていた。

 現在、商品化されているトマトケチャップの原点は、1870年代の米・ペンシルベニア州で、トマトを煮詰めて塩、砂糖、酢、スパイスなどを加えたものだ。ちょうどその頃に登場したホットドッグとマッチして、消費が急拡大したと言われている。

種作りから研究

 「原材料である完熟生トマトの出来不出来が味を左右する」(川岸さん)ことから、キッコーマン・グループはトマトの種作りから研究し、世界各国の農家に栽培法などを指導、原材料の均質化に取り組んでいる。土やその年の気候で微妙な味の違いが生まれるが、「その違いを見極めて、どの地域のトマトと配合するかを決めるのが技術者の腕の見せどころです」(同)という。川岸さんも、おいしいトマトを求めて、世界中を飛び回っている。

 原材料の均質化による安定したおいしさも重要だが、それだけでは消費者の嗜好(しこう)の変化に対応できない。よりおいしく、より健康に良いものが求められているからだ。

 そこで、2013年に全く新しいコンセプトで開発したケチャップが、「リコピンリッチ」だ。抗酸化作用があるとされているリコピンを従来品の1.5倍にし、ケチャップだけでも食べたくなる味付けにした。

 これまでのものとは違う濃厚な味の“優れモノ”。「完熟トマトの味を楽しめる自信作です」と、川岸さんは胸を張る。

                   

 ≪interview 担当者に聞く≫

 □キッコーマン食品 プロダクト・マネジャー室 川岸寿夫氏

 ■これまでと違う味の良さ 若年層にも広がる

 --ケチャップは市場が頭打ちの成熟商品とも言われる

 戦後の食卓の洋風化とともに需要を伸ばしてきたが、近年は食の多様化や個食化でニーズが変化している。一方、ケチャップの味はこういうものという固定概念があり、そこに市場が伸び悩む一因があると考えている。2013年に「リコピンリッチ」を発売したが、徐々に市場に浸透し、ケチャップとしては大ヒット商品といわれるまでに成長した。より健康的でおいしいものを求める消費者に満足してもらえる商品ができれば、伸び代はあると考えている。

 --商品開発のきっかけは

 リコピンリッチの前に、「ケチャップ・ハーフ」というカロリー半分の商品を出した。消費者の反応がとてもよく、健康に力点を置いた新たなカテゴリー商品を検討し、トマトに含まれるリコピンに着目した。リコピンは油に溶けやすいので、調理して、油分と一緒に摂取すると体に吸収されやすいという利点もある。通常のトマトケチャップにもリコピンは入っているが、「リコピンリッチ」はその1.5倍ある。

 --大ヒットの理由をどう見る

 発売当初は大々的な宣伝をせずに店頭販売に注力し、中高年層を取り込んで順調な滑り出しになった。通常、新商品は売り上げが徐々に落ち着いていくが、逆に時間とともに売り上げが伸びていった。リコピンを増量するためにトマトの量を増やした結果、濃厚な味になった。これまでとは違う味の良さが、SNSなどを通じて若年層にも広がった。味にはこだわったが、ここまで反響があるとは思わなかった。

 --開発で苦労した点は

 トマトの量や配合する材料を変更したことで工場での生産管理方法を大幅に変更する必要があった。ただ、それに見合うだけの商品ができたと自負している。トマト飲料やピザソースなど、シリーズ商品も堅調な売り上げになっている。

                  

 ■フジテレビ商品研究所

 「企業」「マスコミ」「消費者」をつなぐ専門家集団として1985年に誕生した「エフシージー総合研究所」内に設けられた研究機関。「美容・健康科学」「IPM(総合的有害生物管理)」「食品料理」「生活科学」の各研究室で暮らしに密着したテーマについて研究している。

 http://www.fcg-r.co.jp/lab/