放置スーツケースを再利用 オリックス環境、関空で無料引き取り

 オリックス傘下で不要となったOA機器などの回収やリユース(再利用)、リサイクルなどを行うオリックス環境が関西国際空港に放置されたスーツケースを再利用する取り組みに挑んでいる。空港内でスーツケースの放置が相次いでいるためだ。スーツケースの取り扱いは初めてで、これまでに構築した回収・検品・選別のノウハウと中古品販売業者への販売ネットワークを、増加する放置スーツケース対策にも活用できると判断した。同社は「今後、同様の課題を抱える他の空港などの公共施設にも拡大したい」と意気込む。

 オリックス環境は8月、関西空港を運営する関西エアポートなどと共同で、不要なスーツケースを無料で引き取り、リユースするサービスを開始した。引き取りサービスは、関西空港第1ターミナルビル国際線出発フロアの「手荷物一時預かりカウンター」で受け付けている。航空券とパスポートの提示のほか、所有権放棄同意書に署名してもらい、スーツケースを無料で引き取る仕組み。これまでに160個以上を回収した。

 訪日外国人観光客が多く利用する関西空港によると、訪日客の増加とともに放置スーツケースが目立つようになったという。1日平均で1~2個発見されるが、多い日には10個程度見つかることもあるという。出国前に大型の新しいスーツケースを購入して土産物などの荷物を詰め替え、古いスーツケースを捨てていくとみられている。こうしたスーツケースの大半は、大きな破損などがなく使用できるものが大半だ。オリックス環境ではごみ排出量の削減と資源の有効活用で環境負荷の低減につながると強調、引き続き放置スーツケースの再利用に力を注ぐ。

 回収したスーツケースは、オリックス環境が神戸市内の自社施設に集め検品。中古品として販売可能なスーツケースを選別し、中古品販売業者に売却する。