社外取締役、制度設計道半ば チェック機能の十分な確保が課題

社外取締役の選任状況
社外取締役の選任状況【拡大】

 リーマン・ショック後に導入が加速した社外取締役は、企業トップの暴走を防ぎ、的確な経営判断を支えるチェック役の働きが期待される。ただ、取締役会の意思決定などでこうした機能が十分に確保されていないとの批判もくすぶり、制度設計は道半ばといえる。

 社外取締役を複数選任する東証1部上場企業が、2018年に初めて9割を超えたことが分かった。経営の透明性向上のため、外部の視点を取り入れる動きが08年のリーマン・ショック後、急速に進行。比率は2割弱だった13年から5年間で約5倍に拡大した。

 経営破綻した米証券大手リーマン・ブラザーズは、ワンマンとして知られる経営者が進めた拡大路線から転換できず、損失を重ねた。国内でもバブル崩壊後の長期低迷期に、ずさんな経営で行き詰まる企業が相次いだ。企業統治論に詳しい関係者は「事業戦略を冷静に眺め、『おかしい』と声を上げる人がいなければならない」と話す。

 社外取締役は企業統治の重要な柱と位置付けられ、登用が進んできた。だが、大和総研の鈴木裕主任研究員は「会社のために身を削って働く意識に欠ける人もいる」と、資質を備えた人材は限られているとの見方を示す。人選の過程や報酬算定基準で不透明な部分もあり、制度を改善する余地は大きいという。

 仕組みづくりに積極的で「企業統治の優等生」と呼ばれた東芝では不正会計問題が発覚。歴代社長が関与した利益水増しを見抜くことはできなかった。今年5月には、1部上場企業の社外取締役だった男が未公表情報を入手できる立場を悪用したとして、金融商品取引法違反(インサイダー取引)の疑いで東京地検特捜部に逮捕される事案も起こっている。

 東京証券取引所は6月に企業統治原則を改定し、取締役会の実効性を高めるため女性や外国人の取締役登用を促した。2015年の導入から約3年がたった原則に関し、経団連は「包括的な検証を行う必要がある」との意見を出している。東証は上場企業や機関投資家への聞き取りを通じ、一段の統治強化に向け検討する方針だ。