工場のロボットへの人工知能(AI)の導入が加速している。工作機械大手ファナックのロボット事業本部で技術全般を担当する榊原伸介技監に動向を聞いた。
--導入例は
「ロボットが熟練工同様のレベルで部品を取り出す作業をできるAIを開発した。これまでは人が部品を決まった位置に並べておく必要があり、人がロボットに使われるという面があった。約8時間かけ約5000枚の画像を読み取って学習すると成功率は90%程度になった」
--開発では東京のベンチャー企業「プリファードネットワークス」と組んだ
「自社だけでは限界があり、優秀な他企業と積極的に提携していこうとしている。今回の部品取り出しに関しては、既に自動車メーカーなどから多くの引き合いがある」
--他の取り組みは
「故障の予知に応用している。工場が突然止まると膨大な損害が出る恐れがあるので、何とか事前に把握できないかと思っていた。人間には分からないわずかな異常をAIが捉え、実際に壊れる数週間前に察知できる。ファナックが納入した2万台のロボットで使われており、突然の停止はなくなった」
--AIは人の仕事を奪うか
「私たちはかなり(使い道を)限定している。適用する分野をよく検討しないと成功は難しい。手先の器用さが必要になる作業など人の方がうまい領域もある」