スズキ、日本規格の「軽」を海外生産 来年パキスタンで

 スズキが日本独自の規格である軽自動車をパキスタンで来年春にも生産することが12日、分かった。軽ベースの車両は海外でも生産しているが、規格ごと一括での生産は初めて。車種を増やして主力の南アジア市場の販売をてこ入れする。「ガラパゴス」と言われる軽をグローバルモデルとしてアピールする狙いもある。

 パキスタン南部カラチの工場で、排気量660ccのエンジンを積んだ車種を製造、販売する計画だ。パキスタンは年間通して多くの中古車を輸入しており、既に軽が走っているため、日本の独自規格が通用すると判断した。

 日本では、軽はエンジンが660cc以下で車の高さ2.0メートル以下、長さ3.4メートル以下、車幅1.48メートル以下と制限があり、税金が低く抑えられている。近年は安全機能の搭載も広がり、日本の新車販売で主流である一方、海外では同じモデルでも排気量の大きいエンジンを積んだり、大きさを変えたりして生産、販売されてきた。

 スズキは、パキスタンで今年4~9月に軽ベース車両を5万4000台販売した。海外ではインドの31万5000台に次ぐ規模だ。

 パキスタンの乗用車の販売台数はスズキが最も多く、トヨタ自動車とホンダを合わせた日系3社の寡占状態にある。新車の需要が高まっており、今後、日産自動車や韓国の現代自動車が参入する。