【高論卓説】台湾で相次ぐ「日本製」のトラブル 信頼にひび、重要拠点失う恐れも (1/2ページ)

重機で吊され線路から運びだされる特急「プユマ」号の先頭車両=10月22日、台湾北東部・宜蘭県(田中靖人撮影)
重機で吊され線路から運びだされる特急「プユマ」号の先頭車両=10月22日、台湾北東部・宜蘭県(田中靖人撮影)【拡大】

 台湾で死者・負傷者200人以上を出した台湾鉄道の脱線事故。日本でも連日テレビニュースのトップで報じられるなど注目を集めた。今も台湾で原因究明の作業が続いている。この「プユマ号」の愛称で呼ばれてきた特急の事故車両は、日本企業の製造であった。台湾は日本製に対する信頼度が高い土地。日本の製造業の重要な販売拠点で「メード・イン・ジャパン」の信頼にもひびが入る恐れもある。(ジャーナリスト・野嶋剛)

 「プユマ号」は主に台湾東部路線の振興のために2013年から導入された新型車両。JR東海の子会社である「日本車両製造」(名古屋市)が受注。契約額は300億円に達し、日本の鉄道海外輸出のモデルケースでもあった。

 この事故では、車両の不調による運行の遅れを取り戻すため、運転士が、速度制御の安全装置・ATP(自動列車防護装置)を切ったまま、規定の倍以上のスピードで事故現場のカーブに突っ込んでいった。一義的にはヒューマンエラーが起こした事故なのだが、ATPの切断が、なぜか指令センターに伝わっていなかったという「謎」が残された。

 その後の調査で判明したのは、台湾鉄道にはATPの切断を管制センターに自動通報されるシステムがあったが、事故車両を含めたプユマ号だけは自動通報ができていなかった、ということだった。そして、事故から約10日後、日本車両製造は自らの設計ミスで自動通報を装備できていなかったと発表した。

 常識では考えられない凡ミスである。もちろん事故の直接原因は前述のように運転士の操作ミスにあるが、遠因として設計ミスが影響した点は否定できない。

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