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Jリーグに期待する役割とは 師走の川崎・等々力を例に考えた (1/2ページ)

 師走に入り、わが国では学生からアマチュア・企業、そしてプロスポーツなどのスポーツイベントで大いに盛り上がる。しかし、必然的にこれらの試合イベントがバッティングするケースが多々ある。(帝京大学准教授・川上祐司)

マネジメントの違い

 今月最初の週末に行われた川崎市の等々力緑地がそうであった。ご承知の通りJリーグ2018年シーズンのチャンピオンチームのホームグラウンドがある。リーグ戦最終戦を迎えたこの日も開場前から多くのサポーターであふれかえった。連覇したプロチームの底力を感じる。

 そして、そのスタジアムに隣接するアリーナでは、今シーズンから新リーグとして再編された国内最上位のバレーボールリーグ「V.LEAGUE(Vリーグ)」の試合が行われていた。

 国内大手電機チームのホームゲームとしてチームカラーをキャッチフレーズに多くの観客動員をもくろんでいたようだが、観客数は約2400人とJリーグの試合の10分の1だった。せめて試合開始時間をもう少しずらせばもっと多くのお客さんが観戦できたのではないか。白熱した試合だっただけになんとももったいない気分である。

 そもそもこのアリーナは公営施設。このVリーグチームの他にBリーグやWリーグの男女バスケットボールチームもホームゲームと位置付けて公式戦を行う。全て同じ川崎市をフランチャイズに活動するチームではあるものの、それぞれ違う企業が母体となり運営する。川崎市民約150万人のマーケット内でファンやスポンサー、スケジュールの争奪戦が繰り広げられている。観客動員はもちろんのことチーム経営としても限界がある。

 わが国で地域密着総合型スポーツクラブが掲げられ既に20年以上が経過する。ヨーロッパのスポーツクラブをモデルにしたスポーツ振興施策を推進したものの比較できるようなビッグクラブはいまだに存在しない。そのマネジメントに大きな違いがあるのだ。

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