例えばドイツスポーツクラブは、原則、地域にある非営利団体「スポーツフェライン」がクラブの母体となり、市民がオーナーシップとしてクラブ経営に参画している。FCシャルケ04は年会費50ユーロ(約6400円)で会員数15万人規模の総合型スポーツクラブである。
また一方で、ブンデスリーガの例外措置として資本会社がリーグライセンスを取得した場合も母体フェラインは資本会社に過半数参加していることが条件となる。いわゆる“50+1ルール”である。
バイヤー株式会社が100%出資する有限法人TSVバイヤー04レヴァークーゼンなどがその代表的クラブであり、競技スポーツから子供スポーツ、フィットネスと健康部門などを運営する総合型スポーツクラブである。どちらともプロスポーツチームと多世代が多種目のスポーツ活動が行える社会的コミュニティー機能としてクラブが地域経済をも支えているのだ。
立場逆転、広がる格差
JリーグとVリーグ。前身は日本サッカーリーグと日本実業団バレーボールリーグの企業スポーツ。後者はオリンピックでのメダル獲得によって人気、実力とも前者を上回る国民的スポーツとなったが、バブル崩壊後の企業スポーツ撤退の影響を受けた。1993年のJリーグ開幕とともにその立場は逆転して、その差は開くばかり。川崎をホームとするJリーグチームの昨シーズンの営業収益は50億円を超えた。
「日本版NCAA」構想で話題となったアメリカカレッジスポーツだが、実際に収益を上げているのはアメリカンフットボールとバスケットボールにとどまり、その収益を他のマイナースポーツチームに分配して活動を支えている。日本で最も成功したスポーツビジネスモデルに向けてJリーグチームの果たす役割は単に勝敗だけではない。
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【プロフィル】川上祐司
かわかみ・ゆうじ 日体大卒。筑波大大学院修士課程スポーツシステム・健康マネジメント専攻修了。元アメリカンフットボール選手でオンワード時代に日本選手権(ライスボウル)優勝。富士通、筑波大大学院非常勤講師などを経て、2015年から帝京大経済学部でスポーツマネジメントに関する教鞭をとっている。著書に『メジャーリーグの現場に学ぶビジネス戦略-マーケティング、スポンサーシップ、ツーリズムへの展開』(晃洋書房)がある。53歳。大阪府出身。