経団連、「官製春闘」脱却へ 賃上げ数値目標削除の方針

 経団連が2019年の春闘指針で、18年は盛り込んだ賃上げの数値目標を削除する方針を固めたことが20日分かった。「賃上げの機運を維持する」との趣旨は盛り込み、賃上げを求める政府との歩調を合わせる。指針は「経営労働政策特別委員会報告」として、年明けに公表する。

 18年の春闘の指針では、安倍晋三首相が3%の賃上げを求めたことを受けて「『3%の賃金引き上げ』との社会的期待を意識しながら自社の収益に見合った前向きな検討が望まれる」としていた。数値目標の削除で、各社の経営状況に応じた交渉を進めるとの姿勢を明確にし「官製春闘」からの脱却を目指す。

 菅義偉官房長官は20日の記者会見で「来年は消費税率の引き上げが予定されている。経済の回復基調が持続するには、賃上げが大きな鍵になる」と述べ、経済界に賃上げを求めた。

 経団連の中西宏明会長は最近の春闘を「官製春闘」との言葉で表すことには「ナンセンスだ」と不快感を示していた。賃金引き上げは企業が自主的に決めるべきだとの中西会長の意向を強く反映させる。