シャープ、海外生産を加速 国内は開発拠点に

「日本は製造拠点としての環境が整っていない」と話すシャープの戴正呉会長兼社長=26日、大阪府堺市(安田奈緒美撮影)
「日本は製造拠点としての環境が整っていない」と話すシャープの戴正呉会長兼社長=26日、大阪府堺市(安田奈緒美撮影)【拡大】

 シャープは26日、半導体事業の分社化を発表した。開発部門を国内にとどめ、生産を海外や外部企業に移す流れの一環となりそうだ。すでに冷蔵庫やテレビは、コスト高などから国内での生産終了を表明。亀山工場(三重県亀山市)では、日系外国人労働者の雇い止め問題も発生しており、国内でのものづくりの難しさが浮き彫りになっている。

 亀山工場での雇い止め問題について同日、野村勝明副社長は堺市の本社で記者団に対し「非常に遺憾。出来る限りの対応に努める」と述べた。

 戴正呉会長兼社長によると昨夏、大手顧客のスマホ向け電子部品の需要が高まり、亀山工場の下請け企業に発注。しかし今年1月に急激な受注減があり、雇い止めにつながったという。

 また、戴氏は電気料金など日本のインフラコストは高いとし「こういう競争力では大手顧客は満足しない。今後、シャープは開発技術に注力したい」と述べ、開発と生産のすみ分けを進める考えを示した。

 シャープはすでに栃木工場(栃木県矢板市)でのテレビ生産を年内に、来年9月末に八尾工場(大阪府八尾市)での冷蔵庫生産をそれぞれ打ち切り、海外への移管を決めている。

 今回分社化が決まった半導体は、競争力維持には大規模な設備投資が必要だが、戴氏は「成長のための経営資源が制限されており、5千~6千億の投資は難しい」と述べた。現在、生産開発拠点は広島県福山市に置いているが、協業先によっては生産体制が見直される可能性もある。