安倍晋三首相、賃上げ数値目標見送りで物価上昇の重しに

経団連が開いた審議員会であいさつする安倍首相=26日午後、東京都千代田区
経団連が開いた審議員会であいさつする安倍首相=26日午後、東京都千代田区【拡大】

 安倍晋三首相が平成31年春闘での賃上げ要請の数値目標を見送ったことで、国内の賃上げの動きが鈍り、低迷する物価の重しとなる恐れがある。世界経済の減速懸念で企業の慎重姿勢は徐々に強まっており、日本銀行が掲げる2%の物価上昇目標はさらに遠のきそうだ。

 日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は26日の講演で、企業の人材確保のため「生産性の持続的な向上による賃金の上昇も大事な視点だ」と述べ、賃上げ継続を訴えた。

 ただ、26日の日経平均株価が一時1万9千円を割り込むなど、景気の先行きは不透明感を増している。12月の日銀企業短期経済観測調査(短観)では大企業、中小企業ともに先行きの景況感の悪化を見込んだ。

 企業マインドの低下は賃金の抑制に直結する。特に固定費増につながる賃上げは企業側から避けられやすい。来年には消費税増税も控えており、不安材料を抱える現状ではなおさらだ。

 賃金が上昇しないと消費は鈍化し、企業も値上げできず、物価は低いままだ。第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストは「数値目標が示されなかったことで賃上げがトーンダウンすれば、物価への悪影響は避けられない」と分析した。