「貯金増やしたいと言ってない」郵政社長、限度額引き上げへの銀行懸念に反論

記者会見する日本郵政の長門正貢社長=27日、東京都千代田区(大坪玲央撮影)
記者会見する日本郵政の長門正貢社長=27日、東京都千代田区(大坪玲央撮影)【拡大】

 日本郵政の長門正貢社長は27日の記者会見で、4月に2600万円に倍増する見通しとなったゆうちょ銀行の預入限度額について「利用者利便の向上や事務負担軽減という要望を踏まえて意見をまとめていただいた。感謝したい」と述べた。ただ、限度額引き上げによるゆうちょ銀の肥大化に銀行業界から懸念が出ていることに対しては「貯金を増やしたいとは一言も言った記憶がない」と強く反論した。

 長門氏は限度額引き上げを求める理由として、まとまった額を預け入れられるようにという利用者利便の向上と、郵便局員が限度額を超えたことを利用者に伝える事務作業の軽減の2つを強調。「低金利下なので貯金を集めるという営業方針は発表していない。貯金ではなく投信(の販売)を増やしていく方針を打ち出している」と述べた。

 一方、郵政民営化委員会が26日にまとめた意見書の中で、今後の限度額の見直しの条件として、ゆうちょ銀の株式を3分の2未満まで売却することなどを日本郵政に求めていることに対しては、「ゆうちょ銀の株価やグループの業況などを踏まえてなるべく早く(売却する)と申し上げてきた通りだ。次の限度額の引き上げはこれができないと議論できないと理解している」と述べた。