【太陽の昇る国へ】経営者目線で国の歳出見直しを 幸福実現党党首・釈量子

宇宙船「スペースシップ2」からの眺め。宇宙開発は日本の未来に富を生み出す(ヴァージンギャラクティック提供・共同)
宇宙船「スペースシップ2」からの眺め。宇宙開発は日本の未来に富を生み出す(ヴァージンギャラクティック提供・共同)【拡大】

 --政府は21日、来年度税制改正大綱を閣議決定しました

 今回、住宅ローン減税の拡充や、自動車関連税制の減免の拡充など消費増税に伴う景気対策が柱としてうたわれています。期間限定で中小店舗でクレジットカードなどで決済すれば(基本的に)5%分のポイント還元が行われることにもなっています。税率変更前の駆け込み需要と、その反動減からなる景気変動を抑える狙いがあるのだと思いますが、バラマキをするのなら一体何のための増税なのか、というのが率直な意見です。

 今の税制には正義も哲学も感じられません。バラマキによる増税や複雑な税制の導入は、経済活動の自由の領域を狭め、経済のゆがみにもつながります。今こそ「租税の原則」に立ち返りながら、小さな政府・安い税金を志向し、シンプルで公平な税制の構築を目指すべきです。

 --財政健全化に向けては

 国の債務が1100兆円を超える今の状況は看過できません。前回の衆院選時、安倍晋三首相が突如、消費増税の使途を幼児教育・保育の無償化に充てることを表明しましたが、社会保障の将来設計が十分に定まらない中、増税だけは進めようとの考えに納得することはできないでしょう。

 政府は、来年度当初予算は101兆円半ばになるとの方針を示していますが、社会保障費はそのうち34兆円になる見通しとなっています。少子高齢化に直面する中、社会保障制度を今のまま放置すれば、さらなる増税圧力がかかる可能性もあります。

 健全な財政に向けては、バラマキに当たる部分をなくし、社会保障を“自助と支え合い”を基調とした制度に移行させる一方、日本の未来に富を生み出すような宇宙開発やインフラ整備に重点的に歳出を行うなど、経営者の観点から歳出のあり方を見直す必要があると考えます。

 --平成最後の年末を迎えています。この30年間をどう見ていますか

 いわゆる「ゼロ成長」が続き、この時代は「失われた30年」と位置付けられるのではないかと危惧しています。日本経済にとって大きな痛手は消費税の導入と税率引き上げです。

 それと、1997年に山一証券、北海道拓殖銀行など金融機関が破綻したことは、停滞を長期化させた大きな要因です。破綻を機に日本の金融機関の信用は大きく損なわれて金融機関同士による資金の貸し借りが停滞し、株価下落で含み益が減少したことにより、企業への貸し渋りが加速することになりました。

 こうした信用収縮により企業の資金繰りは圧迫され、日本経済は深刻な状況に陥ります。デフレ下にある企業は収益の悪化を避けられず、信用収縮は一層進むことになりました。当時、日銀特融など公的措置が効果的に行われていれば、状況は異なっていたかもしれないと思うと、何とも言えない感情にさいなまれます。

 その後、これまで緊縮的だった金融政策を行っていた日本銀行が、2012年に黒田東彦氏が総裁に就任して以来、物価上昇率2%の達成に向けマネタリーベースの拡大など、“異次元”の金融緩和を行うようになり、日本は景気回復路線へと向かいました。

 しかし、安倍政権下での景気回復の速度は極めて緩やかで、生活実感が十分に伴っていないことも事実です。金融政策だけでは手詰まり感が出ているのは明らかでしょう。日銀は16年2月にマイナス金利政策を導入して今も継続していますが、これが民間金融機関による貸出金利の低下、またそれに伴う収益悪化を招いています。

 マイナス金利の導入含めて金融緩和に偏重する一方で、消費増税など一連の増税策を行った結果として実体経済が改善しきれていないという今の状況は、アベノミクスの失点をもろに反映しています。しかし、次の時代こそ、強い経済を実現したいものです。来年10月に予定されている消費増税の中止はもちろんのこと、大胆な減税、規制緩和を含めて、明確で一貫性のあるビジョンを提示することこそ必要だと思います。

【プロフィル】釈量子

 しゃく・りょうこ 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒業。大手家庭紙メーカー勤務を経て、94年、宗教法人幸福の科学に入局。常務理事などを歴任。幸福実現党に入党後、女性局長などを経て、2013年7月より現職。