大規模農家が経営を第三者に移譲 埼玉・熊谷で合意書締結

 埼玉県の熊谷市妻沼地区で後継者がいない大規模農家が親族ではない第三者に経営を移譲することになり、県大里農林振興センターで経営継承の合意書が締結された。同センターは「後継者不足解消の1つの手段になり、農業が次世代に継承される先進事例になる」と注目している。

 経営を移譲したのは、同市永井太田の農地22ヘクタールで、夏は水稲、冬は麦を栽培している掛川久敬さん(75)。経営を引き継ぐのは掛川さんの下で約3年間、農業を手伝いながら学んできた中野拓海さん(27)。継承日は今月1日。

 経営移譲のシステムは、掛川さんが耕作する農地は大部分が借地のため、地主側の了解を得て中野さんに耕作する権利を譲り、掛川さんが結んでいる借地の契約期限が来た段階で順次、中野さんが地主側と借地契約を結ぶ。現在使われている農業用機械や作業小屋なども賃貸、または無償で中野さんに譲られ、現在の農業経営が丸ごと中野さんに移行できるようにする。

 掛川さんは「元気なうちにちゃんとしておきたかった。地主側も若者に長く借りてもらえるなら安心。しばらくはお手伝いできると思うので、見守っていきたい」と話している。

 同センターの担当者は「これほどの大規模農家で赤の他人が経営を引き継ぐ事例は全国的にもまれ。耕作放棄地が増える中、水田や畑の維持、新しく農業を始める人のリスク軽減のためにも、いい手法ではないか」と話している。