イプシロン4号機打ち上げ 宇宙ベンチャー台頭、ビジネスに弾み

人工流れ星衛星などを搭載し、打ち上げられた小型ロケット「イプシロン」4号機=18日午前9時50分、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所(草下健夫撮影)
人工流れ星衛星などを搭載し、打ち上げられた小型ロケット「イプシロン」4号機=18日午前9時50分、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所(草下健夫撮影)【拡大】

 18日に宇宙航空研究開発機構(JAXA)によって打ち上げられた小型ロケット「イプシロン」4号機には、民間の宇宙ベンチャーが開発した人工衛星が初めて積み込まれた。政府は宇宙産業の市場規模を、2030年代に現在の2倍となる2兆4000億円まで拡大させる目標を設定している。宇宙分野の技術開発はこれまでJAXAと大手重電メーカーが中心となって進められてきたが、宇宙ベンチャーの台頭により、目標達成に向け弾みがつきそうだ。

 同機には大小7つの人工衛星が搭載された。このうち、最も重要な役目を果たす主衛星を開発したのが、アクセルスペース(東京都中央区)だ。同社は平成28年にJAXAから受注。衛星と地球を結ぶ通信の高速化に役立つような電子部品や太陽電池パネルなどが、宇宙空間で問題なく動作できるかを検証する。

 20年設立の同社は、東京大学と衛星画像の撮影を目的とした超小型衛星を製作するなど、実績を残している。今回のプロジェクトは、本格参入する衛星画像の販売事業につながる。最終的には「GRUS(グルース)」という超小型地球観測衛星を50個打ち上げることによって、宇宙から地球の隅々を撮影。農産物の生育状況の監視など幅広いビジネスへの活用を見込み、土地利用や海洋監視などにも役立ててもらう。

 中村友哉社長兼最高経営責任者(CEO)は「日常生活に役立つようなソリューション(課題解決策)を提案したい」と意気込む。

 イプシロン4号機には流れ星ベンチャー、ALE(エール、東京都港区)の超小型衛星も搭載されている。直径1センチの流れ星の“素”が約400個積み込まれ高度400キロの宇宙空間で放出、大気圏突入時に燃え尽きる。地上からは白やオレンジ、緑、青といった4色の流れ星のように見える。

 32年春に広島県瀬戸内海沿岸で最初の流れ星を“演出する”計画で、その後もスポーツ競技のハーフタイムショーなどといったエンターテインメント関連で売り込む。岡島礼奈社長は「1人でも多くの人に夜空を見上げてもらえるようにしたい」と話す。

 イプシロンには積まれていない他の宇宙ベンチャーにも関心が集まる。液体燃料を使ったロケットの開発を手がけるインターステラテクノロジズ(北海道大樹町)は「MOMO(モモ)」3号機の開発を進めており、過去2回の失敗のリベンジを目指す。

 また、ispace(アイスペース、東京都港区)は月面探査レースでの知見を生かして、月の資源探索に挑むほか、有人宇宙航空機の開発を目指すPDエアロスペース(名古屋市緑区)も高度100キロの宇宙空間まで飛行できる有人宇宙航空機の開発に取り組んでいる。(松村信仁)