【パリ=三井美奈】フランス政府のデータ保護機関「情報処理・自由に関する国家委員会」(CNIL)は21日、米IT大手グーグルに対し、個人情報収集で利用者の同意や告知義務を怠ったとして5千万ユーロ(約62億円)の制裁金を科すと発表した。昨年5月の欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)の施行後、同規則に基づくIT大手への初の制裁金命令となった。
CNILは声明で、グーグルは個人情報の扱いについて利用者への説明で透明性を欠き、広告表示についても適切な方法で同意を得ていなかったと指摘。「透明性や同意を求める原則への深刻な違反であり、制裁金の額は正当化できる」と明記した。
CNILに対しては、不服申し立てが可能。ロイター通信によると、グーグルは声明で「GDPRに真剣に取り組んでいる」としたうえで、次のステップを決める方針を示した。
GDPRに違反した場合、最大で売上高の4%か2千万ユーロのどちらか高い方を制裁金として科す権限を加盟国に認めている。CNILは、昨年5月にデータ保護を求める2つの民間団体から訴えを受け、グーグルに対する調査を開始した。