【2019 成長への展望】三菱ケミカルHD社長・越智仁さん(66)


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 ■新たな社会に向け事業基盤を強化へ

 --化学業界は好調を維持している

 「2018年も(前年に続いて)基本的には良い一年だった。やはり需要が堅調なのが大きい。さまざまな投資案件が実施に移され、当社も昨年はサウジアラビアでアクリル樹脂原料の新工場を本格稼働させ、米国ではポリエステルフィルム工場の増設を完了した」

 --中国経済の減速が懸念される

 「米中貿易摩擦の影響が少し出ていると思う。中国では自動車販売が減少している。化学でも、アクリル樹脂原料など、一部製品の需要が減り気味だ」

 --米国で生産されたシェールガス由来製品の流入も懸念材料だ

 「今は中南米や欧州に流れていて、アジアには入ってきていない。それに日本より中国を中心に入ってくるのではないか。日本に入ってきたとしても、今の(旺盛な)需要なら吸収できるだろう」

 --20年度まで5カ年の中期経営計画は、昨年12月に利益目標を引き上げた

 「食品包装フィルムやリチウムイオン2次電池向け部材、自動車向け高機能樹脂といった、高付加価値の機能商品が伸びている。これらの製品によって、5年間で計300億円ぐらい利益が上積みされるとみていたが、実際そうなっている。構造改革に踏み切った石化事業が安定し、大きな損失も出にくくなった。米国メーカーの欧州事業を約6400億円で買収した子会社、大陽日酸の産業ガスも伸びている」

 --課題は

 「悩ましいのはヘルスケア事業だ。医薬品は薬価引き下げなどで環境が厳しい上、開発が年々難しくなっている。(事業拡大のため)M&A(企業の合併・買収)は必要だと思う」

 --海洋ごみ問題が注目され、「脱プラスチック」の動きが進んでいる

 「リサイクルを含む資源の有効利用を考えていくべきだと以前から言ってきた。注目されていることは、それを改めて考えるいいきっかけになる。ただ、廃棄物抑制やリサイクルは企業単位ではなく、サプライチェーン(供給網)全体で考えていくべきだ。一方、バイオプラの拡販という意味ではチャンス。19年度は現在の3倍ぐらいまで売り上げを伸ばしたい」

 --19年の抱負は

 「マクロ経済は18年と大きな差はないのではないか。貿易摩擦など、さまざまなさざ波は立つと思うが、経済的には伸びていくと思う。成長を加速し、新たな社会に向け事業基盤を強化する年にしたい」

【プロフィル】越智仁

 おち・ひとし 京大大学院化学工学研究科修了。1977年三菱化成工業(現三菱ケミカル)入社。2007年三菱化学(現三菱ケミカル)執行役員経営企画室長、12年三菱レイヨン社長などを経て、15年4月から現職。愛媛県出身。