【フロントランナー 地域金融】東濃信用金庫豊山支店の藤井優真さん(2)


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 ■企業の悩みに応えることを第一に

 企業の新規開拓や既存先の取引深耕に取り組んでいる東濃信用金庫豊山支店の藤井優真さん。経理担当者との面談を通じて社長など新規開拓先の実権者にアプローチする際、藤井さんは、例えば面談の後は、融資の新商品や個人型確定拠出年金「iDeCo」、経営者向けセミナーのパンフレットといったドアノックツールを手渡す。

 名刺一枚で済まさず、実権者が関心を示すようなツールを残すことで、経理担当者が実権者につなぎやすい状況を作っていくわけだ。

 藤井さんは時期を置いてまた足を運び、別のドアノックツールで声をかける。2回、3回と粘り強く訪問することで経理担当者に熱意を伝え、少しずつ心を開く。関係を築くことが実権者との面談につながるという。

 こうして社長など実権者との面談を実現したら、資金ニーズにこだわらず、まずは「ヒト・モノ・カネ」の観点から経営の課題を聞く。ヒアリングで得た情報を基に、事業承継やビジネスマッチングなどの支援策を考え、本部や外部機関と協力して提案する。

 業績の低迷に悩む企業には、信用保証協会が行っている中小企業診断士の派遣サービスを利用し、企業の経営分析や改善策の提案に取り組んでいる。また事業承継の悩みを持つ企業には、本部や提携する税理士と連携し、情報提供やコンサルティングに努めていく。

 このように、藤井さんは自店の実績よりも企業の悩みに応えることを第一として考え、手間を惜しまず尽くしている。その支援の結果、これまで東濃信用金庫になじみがなかった企業からも喜ばれ、県外店舗でありながら取引を増やしている。

 新規開拓の活動と並行し、藤井さんは後輩の教育にも力を注ぐ。後輩の渉外担当者から事業性融資の相談を受ければ、提案内容の助言や同行訪問を行う。一度教えた案件はクロージングまで確認することで、教育に一貫性を持たせている。

 意識しているのは、本人のモチベーションを刺激することだ。融資につながる情報の報告を受けたら、他のメンバーの前で褒める。提案の軌道修正が必要なら、方向性を示したうえで改めて本人に任せて、具体策を極力考えてもらう。

 実際に藤井さんが入庫2年目の女性担当者と二人三脚で取り組み、融資の実行に至った事例がある。提案先は、豊山支店から徒歩圏内に店舗を構える飲食店。取引は預金だけだった。資金ニーズ発掘のきっかけは、女性担当者が訪問して経営課題を聞いたことだ。

 (編集協力)kindai-sales.co.jp