【2019 成長への展望】日本郵船社長・内藤忠顕さん(63)


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 ■「デジタルとグリーン」新規事業強化

 --2018年は傘下の日本貨物航空(NCA)の行政処分や、定期コンテナ船事業を商船三井、川崎汽船と統合したオーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)が原因で厳しい結果となった

 「NCAの件は真摯(しんし)に反省すべきだと考える。新たな事業運営でやっていけるか挑戦しようとしているので支援する。ONEは4月の統合後から(運営上の)混乱でつまずいたが、統合前の日本郵船と同規模の他社をみると4~9月期は赤字で、統合していなければ大変な赤字を出していた。文化を共有する邦船3社で一緒になったのは意味があること。3社の社長が定期的に集まって情報を共有し、ONEの改善を続ける」

 --米中貿易摩擦など不安定要素も多い

 「昨秋、大豆の米中間取引が止まったら、中国は大豆を南米から買い、南米は大豆がなくなったから米国から買った。結果、三角貿易になって、ばら積み船市況は値上がりした。海運業界にとって大事なのは経済成長がその国・地域で続いているかだ。今は中国が少しスローダウンしたのがちょっと痛いところだ」

 --18年春に中期経営計画を発表した

 「30年前の長期計画では総合物流を目指し、多角化、グローバル化、拡大を基本的考えとしてきた。中計では次の成長に向けた、新しい芽を育てたい」

 --運賃安定型事業の積み上げを掲げている

 「LNG(液化天然ガス)輸送や物流、自動車物流などがあるが、LNGは成約が多い。物流は構造改革を行い、軌道に乗ってきた。自動車物流ではトルコの企業と組んで自動車ターミナル事業を立ち上げ、20年から稼働させる」

 --新規事業にも取り組む

 「デジタライゼーションとグリーンがテーマだ。前者は、例えば将来的な船の自動化・自律化にはデータ確保が必要不可欠だし、航行中の船の機関の状態確認や陸上配送の最適化もできたりする。後者は欧州の自動車ターミナルでの風力発電など、いろいろ取り組む」

 --20年1月には硫黄酸化物(SOx)排出規制が始まる。対応には低硫黄燃料を使うか、排ガス洗浄装置を付けるか、LNG燃料の採用などが必要だ

 「低硫黄燃料へ切り替えると、世界の海運全体で年間3兆4000億円のコスト増になる。適正なコスト負担を荷主にお願いし、経済合理性から9割は低硫黄燃料を選択した状況だ。石油業界が燃料規格を出していないことや供給面など、問題が出る可能性は残っているが、今年は準備の一年として積極的に対応する」

【プロフィル】内藤忠顕

 ないとう・ただあき 一橋大経卒。1978年日本郵船入社。石油グループ長、常務経営委員、代表取締役専務経営委員、同副社長経営委員を経て2015年4月から現職。愛知県出身。