顆粒剤工場を取り壊し、次世代創薬拠点 塩野義


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 塩野義製薬が「セデス」や「ポポン」などの大衆薬を生産していた摂津工場(大阪府摂津市)の施設を取り壊し、次世代医薬品の製造施設に刷新する方針を固めたことが25日、分かった。2020年までに解体し、約1万平方メートルの敷地に新施設を建設。摂津工場を最先端の医薬品製造拠点にする考え。

 塩野義は、副作用が小さく、高い効果が期待されるアミノ酸を合成した「ペプチド医薬品」や再生医療にかかわる「細胞医薬品」などの開発を急いでいる。こうした次世代の医薬品の生産を担う拠点を整えることにした。

 取り壊す計画の摂津工場内の施設は、昭和43年に建設され、同社の鎮痛薬やビタミン剤などのほか、医師が風邪薬として処方する顆粒(かりゅう)剤を生産。ピーク時は年間生産量が3千トンを超え、顆粒剤の国内生産全体のうち、3分の1を占めるほどだった。

 ただ現在は、処方薬となる顆粒剤は特許が切れ、収益性も低いことから、摂津工場の効率化が課題となっていた。

 施設の操業は平成29年8月に停止し、現在、顆粒剤の製造は富山県内の製薬会社に生産を委託している。

     

 国内の新薬メーカーでは生産コスト削減のため、工場の譲渡や閉鎖など製造部門の効率化が進んでいる。ジェネリック医薬品(後発薬)の普及などで市場が変化、薬価引き下げもあり、委託生産でコスト削減を図るとともに、次世代医薬品の創薬研究に投資を集中させたい考えだ。

 大日本住友製薬は今年度末に愛媛県新居浜市の愛媛工場と大阪府茨木市の茨木工場を閉鎖する。アステラス製薬は平成26年に富士工場(静岡県富士市)を、田辺三菱製薬も27年に鹿島工場(茨城県神栖市)をそれぞれ後発薬メーカーに譲渡している。後発薬の普及が、新薬メーカーの工場の稼働率の低下を招き、維持費のかかる工場の再編、効率化を促している。

 一方で、最先端の医薬品の生産拠点への投資には積極的だ。大日本住友は昨年、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った医薬品の商業用生産施設を大阪府吹田市にある研究所敷地内に新設。顆粒剤の生産を他社への委託に切り替えた塩野義製薬の手代木功社長も「工場の効率化を模索してきた。今後、摂津工場は最新の医薬品の製造拠点にしたい」と語る。次世代医薬品の創薬開発競争が激化していけば、新薬メーカーの製造部門の見直しが一段と進みそうだ。(安田奈緒美)