一方で、売却した家電や稼ぎ頭だった半導体事業は、買い戻さない方針だ。新たなM&Aについても当面実施しないとしている。
その理由として、車谷CEOは、「家電は利益率が低い。半導体は景気に左右されるうえ、膨大な設備投資がかかる」ことを挙げる。M&Aについては、「買収金額は、EBITDA(税引き前利益に支払い利息や減価償却費を加算)5~8倍でも高いが、今や10倍、20倍は当たり前。バブルの様相を呈している」(車谷CEO)とみているためだ。
ブランド力は保持
懸念されるのが東芝のブランド力の維持だ。一連の経営危機でダメージを負ったうえ、家電事業がなくなったことで、一般消費者向けの商品が皆無となり、ブランド力をアピールすることが難しくなっているからだ。ただ、車谷CEOは、独シーメンスがすでに家電業界から撤退し、鉄道や工場の効率化サービス、エネルギー、医療などの事業に精力を注いでいるが、「ブランド力が落ちていない」と指摘。家電がなくなってもブランド力は保てるとの見方を示す。
一方で、企業スポーツは維持する方針で、「ラグビー、野球は存続する」と断言した。「膨大なコストがかかるわけでもなく、会社を束ねるうえでも意味がある」としている。合理化徹底のためにラグビーのチーム運営からの撤退がささやかれていたが、車谷CEOは「撤退するといったことはない」ときっぱり否定した。
加えて、現在、人気女優の有村架純さんを起用する企業イメージCMが好評で、今後も続ける方針。こうした施策でブランド力を保つ戦略のようだ。(飯田耕司)