5時から作家塾

落書きが変身! 世界でひとつだけのぬいぐるみを作ってくれる工房に注文相次ぐ (3/4ページ)

吉田由紀子

 「出身は愛媛県。神戸の大学を卒業後、広告代理店に就職しました。小さい頃から絵は好きでしたが、モノづくりの経験はまったくありませんでした」

 その後、一時家業の建設業を手伝った後、親戚の事業を手伝うため芦屋に引っ越してきた白石さん、ある出会いがきっかけになったという。

 「ある日友人の家に行くと、可愛い刺繍が飾られていたんです。聞けば、子どもの顔をおばあちゃんが刺繍にしたそうです。それが実に良かったんです。それでふと、飾っておくだけじゃなく、ぬいぐるみにしたら面白いんじゃないかと思いつきました。ネットで調べてみると、落書きをぬいぐるみにするサービスは、日本では見つからなかったんです」

 いけるかもしれない。そう感じた白石さんは、奥さんにミシンの使い方を教えてもらい、試作品を作ってみる。

 「娘の落書きを元にぬいぐるみを作ってみました。ミシンなんて小学校の家庭科でさわって以来でしたが、作っているうちにだんだん面白くなってきたんです」

 その後、友人の子が描いた絵も次々とぬいぐるみにしていく。周囲から「これを欲しがる人はいると思うよ」と言われるようになり、2013年、WEBサイトでクリッチャの販売を始めたのである。

 「正直、儲かってはいません」と苦笑い…それでも続けられる理由

 「評判が良かったので、売れると思っていたんですが、当初はまったく反応がなかったんです。考えてみれば、落書きをぬいぐるみにするなんて、今までどこにもなかったサービスなので、検索してたどり着く人がいないのも当然です」

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