【検証エコノミー】電力の小売り全面自由化から3年 切り替えに地域差 逆風の新電力も (1/3ページ)


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  • 中部電力と大阪ガスが折半出資するCDエナジーダイレクトは、東急パワーサプライなどと組み、首都圏で電気と都市ガスの供給を展開している=2018年5月

 家庭で使う電気をどの会社から買うのか消費者が選べるようになった電力の小売り全面自由化が始まってから4月で丸3年。大手電力が自社の供給区域外への進出を図り、ガス会社など異業種の参入も加速し、販売競争は激化。電気料金やサービスをめぐる工夫を促した半面、新規参入した事業者の「新電力」の中には厳しい経営環境に置かれている企業も出ている。(森田晶宏)

 「以前よりも電気代が安くなった。料金の支払いや検針票がガスとひとまとめになり、管理しやすくなった」。東京都台東区の自営業男性(50)は笑顔で語る。友人の勧めもあり、全面自由化の開始と同時に電気の契約を大手電力から東京ガスに切り替えた。

 東ガスは全面自由化を受けて「低圧」と呼ばれる家庭向けの電力の小売りに参入。直近の契約件数は約165万件だ。昨年10月には、平成32年度末までの契約件数の目標を240万件と従来より20万件上積みした。

 新電力として登録した企業の数は500社を超す。家庭向けでみると、新電力のシェア(販売電力量ベース)は昨年11月分で11・7%。かつては東京電力ホールディングス(HD)や関西電力などの大手電力が地域ごとに販売を独占していた。

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