試乗スケッチ

デジタル社会を象徴する“バーチャルスーパーカー” BMWi8ロードスター (2/3ページ)

木下隆之
木下隆之

 500psオーバーが当たり前のスーパースポーツの世界にあって、数値的には374psは非力ではあるものの、フルカーボンのボディは、重量増が避けられないオープン化を施しても1595kgに留めているから、非力だとはまったく思わない。モーターならではの初速の力強さは健在だから、カタログ表示の250km/hはけして誇張ではなく、現実的のような気がするのだ。

 エンジン音もバーチャル

 フル加速時のサウンドもバーチャルである。直列3気筒ハイブリッドが、その攻撃的スタイルに見合うサウンドを響かせるとは到底想像できないが、現実的にはV8が吠えたかのような獰猛な咆哮を奏でる。

 じつはこれにもカラクリがある。エンジンルームのサウンドをマイクで拾い、コクピットで鳴らしているのだ。雑味を消しつつ、心地よいサウンドに調律した上での増幅なのである。

 モードをスポーツにセットすれば、一段と激烈なパワーとサウンドが響き渡るという仕掛け。体を襲う加速Gも、鼓膜を刺激するサウンドも、ドライバーが任意に選択可能だ。まさにデジタルの得意技である。

 ここまで読み進めてくださった方の中には、まやかしのスーパーカーだとガッカリされた方もいらっしゃるかもしれない。だが、実際にドライブするとそんなネガティブな感覚は薄れてしまうから心配は無用だ。直列3気筒ユニットという気が萎えるユニットの存在も、むしろ重量級のV8だったらもっと鈍重なフットワークに成り下がってしまうかもしれないと思える。軽量エンジンならではのリズミカルなフットワークに納得する。

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