先日、ある中国のIT会社の社長とじっくり話す機会があった。中国経済は今、不動産や建設など従来型の産業成長が大幅に鈍化していく一方、より豊かで便利な社会を享受したい人々の欲求を満たすために、IT産業の勢いが衰えるところを知らず、電子商取引・キャッシュレス決済や自動運転・シェアリングエコノミーなどの分野では、今や米国をもしのいでいる。(旭川大学客員教授・増山壽一)
そんな中、中国のITセキュリティー技術は情報システムの防御と、競争相手を攻撃する双方で米国を脅かしてきた。
最近では、そのセキュリティー対策技術自体が強力で実践的なことから、ライバルである米大手IT企業にまで採用され、中国企業からの攻撃に備えている実態もよく分かってきた。
新聞紙面での米中貿易戦争の裏で、実は米中の経済融合は急速に進んでいるのだ。
そして今、日本は極めて魅力ある地域として、両国から熱烈なラブコールが寄せられている。ひと昔前まで「JAPAN PASSING」などと素通りされていた。
ラブコールの背景には、政治的なカムフラージュと日本の技術力と市場の成熟性がある。