中小企業へのエール

米中貿易戦争のウラで急速「経済融合」 情勢を知りチャンスを狙え (2/2ページ)

増山壽一

 米中は経済的には急速に一体化している半面、政治的には厳しく対立している。日本を介して両国の関係をカムフラージュしようとしており、日本は米中双方から政治的に安全なパートナーに見えるのだ。

 また日本の技術力やマーケットは、アイデア先行で現在のマーケットを軽視する米国ビジネスと、巨大なマーケットを背景に実用化のスピード重視で失敗を恐れない中国との間で、その両者の欠点を補う役目を果たしている。

 革新的なアイデアを現場へ落とし込み、既存マーケットをたたき潰すのではなく、徐々に浸透していく、日本の手法が高く評価されている。

 元気な中小企業にとって米中貿易戦争はチャンスだ。強さを見せつけ、米中をうまく使って世界を目指そう。ただ両国間の事情をよく理解し、その仲介の労をしっかりとらないと、スパイや単なる口利きとして非難され、股割き状態になる。

 筆者の経験や考え方をまとめた「AI(愛)ある自頭を持つ!」を産経新聞出版から出版し、アマゾン、有名書店で販売中。是非感想などをお寄せください。(office@masuyama-toshikazu.com)

【プロフィル】増山壽一

 ますやま・としかず 東大法卒。1985年通産省(現・経産省)入省。産業政策、エネルギー政策、通商政策、地域政策などのポストを経て、2012年北海道経産局長。14年中小企業基盤整備機構筆頭理事。旭川大客員教授。京都先端科学大客員教授。日本経済を強くしなやかにする会代表。環境省特別参与。56歳。

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