日本政府はコーポレートガバナンス(企業統治)の強化を打ち出し、株主との対話の促進などを企業に求めている。その一方で、GW期間中の市場を閉じることで、企業のIR(投資家向け広報)窓口も閉鎖を許している。これは日本株を買っている海外投資家に対する「目に見えない障壁だ」というのだ。
取引所もかねて、株主総会を分散解散するよう求めている。また、有価証券報告書の提出期限を遅くし、株主総会を7月以降でも認めるようにしようという声もある。だが、現実には6月末の総会集中は今年も続いている。
会社経営者にとって、取締役会の意見と違う株主提案を外国人投資家に出されるのは、正直うるさいと感じるかもしれない。だが、GWという「障壁」に隠れて外国人投資家の声をシャットアウトすれば、いずれ外国人投資家はあきれて、日本株投資から手を引いていくに違いない。
働く人個人にとっては大型連休はありがたいが、それが金融界や企業のあり方をゆがめていないか。もう一度原点に返って議論する必要がありそうだ。
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【プロフィル】磯山友幸
いそやま・ともゆき ジャーナリスト。早大政経卒。日本経済新聞社で24年間記者を務め2011年に独立。