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東芝進める太陽電池の新技術 ペロブスカイト太陽電池、発電効率高め主電源化を後押し (2/3ページ)

 また、従来の結晶シリコン太陽電池はパネル1枚の重量が15~20キロ程度で、柱が少ない建築物などには大量設置が難しく、現状では一般の住宅の屋根や土地にパネルを敷き詰めるのが主流となっている。ペロブスカイトなら建物だけでなく電気自動車の天井やテントのような場所にも太陽電池を塗布することが可能だ。東芝研究開発センターの都鳥顕司シニアエキスパートは「体育館や郊外の商業施設など設置できる建築物が飛躍的に増える」と新技術の先進性を語る。

 ただペロブスカイトは単一方向に結晶化が進むため、広い面積に均一に印刷するのが難しかった。これを可能にしたのが、東芝が有機ELの研究から開発していた「メニスカス塗布法」と呼ばれる技術で、ペロブスカイトを結晶化させる成分を分けて印刷することで、結晶化の方向をコントロールでき、平面上でも結晶の均一性を高めることに成功した。

 現在は703平方センチメートル(24.15センチ×29.10センチ)まで印刷できる面積を拡大している。今後、実用化サイズとして想定される900平方センチメートルを目指すほか、発電効率を高め、30年まで1キロワット時の発電コストを7円まで引き下げたい考えだ。

 原材料費抑え透明化

 また、今年1月に公表したのは、亜酸化銅を用いた太陽電池の透明化技術だ。透明化により、従来の結晶シリコン太陽電池の上に重ねることで“2階建て”の太陽光パネルが可能になり、パネルの設置面積当たりの発電効率が高まる可能性が期待されている。これまでにも別の素材を使った2階建て電池はあったが、従来の太陽電池の最大3000倍という高コストがネックだったという。

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