奈良発 輝く

ホーテック、吉野産無垢材の床板で高い防音性を (1/3ページ)

 国土の約7割を森林が占める日本。長らく低迷していた林業は近年、輸出を中心に復調の兆しを見せつつあるが、かつて高級木材として名をはせた吉野杉の産地、奈良県では依然として厳しい状況が続く。山の荒廃が進む中、内装材やフローリングを販売する「ホーテック」(同県大淀町)が県産木材の新たな需要を生み出そうと開発したのが、吉野杉や吉野桧を使った無垢(むく)材の防音フローリング「音静香(おとしずか)」だ。「歴史ある日本の高品質な木材を守らなくては」。堀内嘉久社長(62)の使命感がそこにはあった。

 品質の高さに可能性

 音静香は県森林技術センターとホーテックが共同開発し、今年3月に販売を開始した。マンション管理組合などで定められる防音基準「LL-45」を満たし、階下への話し声は25デシベル、スプーンを落とした音だと30デシベル近く低減される。これは通常の音量であれば、ほとんど聞こえないほどの防音性能という。

 からくりは木材の裏側に入れた切れ込みにある。繊維を切ることで伝わる音を軽減する仕組みだ。切れ込みが深くなれば防音効果が増す一方、強度が下がる。それゆえ、丸太から切り出す無垢材に高い防音性能を持たせるのは難しかった。

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